(31日、プロ野球 阪神タイガース4―2読売ジャイアンツ)

 一振りで試合をひっくり返す。それも相手が首位チームとなれば、この上ない快感だろう。

 甲子園の夜空に白球が舞ったのは六回だった。2点を追う阪神はこの回、2死から森下翔太の中前安打と死球で一、二塁。五回まで1安打に抑えられていた巨人の右腕戸郷翔征から好機をつくると、左打席に佐藤輝明が入った。

 「とにかく強く振ること。それだけでした」

 一発逆転の場面。ただ、阪神ファンの熱気はいま一つだった。

 7月中旬から4番を任されてきた25歳が不振にあえいでいたからだ。前の試合から4番を外され、5番で出場したこの日も2打席連続三振を喫していた。

 それでも、フルスイングは忘れなかった。カウント1―1からの3球目。低めの150キロにバットをぶつけると、打球は左中間席まで届いた。

 13打席ぶりの安打は、逆転の3ランに。「ワンチャンスで最高の結果を出すことができてよかった」。球場のボルテージも一気に上がり、「テルコール」の大合唱だ。

 8月1日以来の本拠での試合だった。高校球児たちが聖地を使っていたその間の長期ロードは9勝13敗1分けと負け越した。戻った本拠の初戦で負ければ、単なる1敗以上の重みがあった。

 それが、ここぞの一発で逆転勝ち。頼れるスラッガーは言った。「僕に求められているのはホームランなので」。残り23試合。勢いづくには最高の勝ち方だ。(山口裕起)

 才木(神) 6回2失点。「相手打者との間合いのズレがあり、その間合いを考え、工夫することで二回以降は粘りの投球ができた」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。