優勝争いが混戦となっているセ・リーグは、22日から甲子園球場で首位巨人と2位阪神による首位攻防の2連戦が行われました。

22日の第1戦で巨人は、阪神の才木浩人投手などの投手陣を打ち崩せず、0対1の完封負けでゲーム差を「1」に縮められました。

それでも23日の第2戦では、先発したグリフィン投手など4人の投手陣が完封リレーの好投をみせ、打線は22日の試合で3回あった得点圏でいずれも凡退し、23日は先発を外れた坂本勇人選手が、7回に代打で決勝タイムリーを打って1対0で勝ちました。

巨人は21日の広島戦で終盤に逆転されて敗れ、22日も完封負けで連敗と嫌な流れが続き、23日も敗れるとゲーム差なしに迫られる苦しい状況でしたが、2連戦を1勝1敗で終えて、阪神とのゲーム差を「2」に広げ、優勝に向けて大きく前進しました。

これで巨人は優勝へのマジックナンバーが「4」となり、
▽残り6試合で4勝以上すれば優勝が決まり、勝率は4勝2敗だと5割6分6厘、3勝3敗だと5割5分9厘、2勝4敗でも5割5分1厘となります。

一方、
▽残り5試合の阪神は、5戦全勝で5割6分2厘、4勝1敗だと5割5分5厘、3勝2敗だと5割4分7厘となっています。

仮に、巨人がここから3勝3敗の五分でも、阪神がそれを上回るには5戦全勝しなくてはならないため、数字上は巨人がかなり有利な状況となっています。

そういった意味でも、今回の2連戦での1勝は、4年ぶりの優勝を目指す巨人にとって大きいものになりました。

阿部慎之助監督は23日の試合後、「きょうの1勝はすごく大きいが、まだ試合は続くので油断はせず、引き締めていきたい。マジックは点灯しているが、それに関係なく、目先の1試合を勝つために全力で頑張りたい」と浮かれた様子はありませんでした。

巨人は、このあと1日空いて5連戦となり、
▽25日からDeNAと2連戦
その後、
▽中日、広島、ヤクルトと1試合ずつ戦います。

そして、10月2日にDeNAとの最終戦に臨みます。

坂本勇人 大一番で試合決める

大一番で試合を決めたのは、22日の試合で屈辱を味わった坂本勇人選手の一打でした。

坂本選手は22日の試合、6番サードで先発出場しましたが、
▽2回のノーアウト一塁二塁
▽4回の1アウト一塁三塁
▽6回の1アウト満塁と、
3度のチャンスで、いずれも凡退し完封負けの一因となりました。

「野球人生の中でも、あそこまで悔しい思いをしたことなかったし、自分が情けないなと思いながら一日過ごした」という坂本選手。

それでもベテランの活躍が優勝へのカギだと考えている阿部監督は、23日の試合でも、0対0の7回、ノーアウト一塁三塁の絶好のチャンスで坂本選手を代打で起用しました。

「試練が来たな」と思ったという坂本選手は、ここまで苦しめられてきた阪神の高橋遥人投手のアウトコースのストレートをライト前にはじき返しました。

これが決勝タイムリーになり、見事に22日の悔しさを晴らしてチームを1対0での勝利に導きました。

坂本選手は試合後、22日の試合も振り返りながら取材応じ、「なんとかしたいという一心だった。監督が信じて使ってくれている中で、なかなか応えられていないという気持ちもあった。きょうは期待に応えられてよかった」と安どの表情を浮かべていました。

一方、阿部監督は、坂本選手について「最後に信じてよかった。やっぱり一番いろいろな修羅場をくぐってきているので、そこを信じて使っている。それに応えてくれたので勝ちがついた」と現役時代にともにプレーし、長年チームを支えてきたベテランの勝負強さをたたえていました。

逆転優勝に近づきたかった阪神 痛い1敗に

一方、2連勝で逆転優勝に近づきたかった阪神は、投手陣のふんばりに打線が応えられず、あまりに痛い1敗となりました。

阪神は、天王山の2連戦、勝ち頭の才木浩人投手と、手術からの復帰以降、負け無しの高橋遥人投手に先発を託しました。

2人は、その期待に応えるピッチングを見せたほか、鉄壁のリリーフ陣も力を発揮し、2試合で最少失点「1」に抑えました。

しかし、奮闘を見せた投手陣を打線が援護できず、23日の試合では、5番の佐藤輝明選手が3回にわたってチャンスで凡退。

特に6回はノーアウト二塁と、この試合最大のチャンスと言える場面でしたが、佐藤選手と代打の前川右京選手、梅野隆太郎選手が、二塁ランナーを進めることすらできず打ち取られました。

後半戦に入ってから、9月にかけて打線が調子を上げ、追い上げに向けて勢いづいていただけに、あまりに痛い完封負け。

試合後、岡田彰布監督が報道陣の取材に応じずに引き上げていったことが、この1敗の重さを物語っています。

一方で、4番の大山悠輔選手は「まだ終わっていないか」という報道陣の問いかけに、「当たり前じゃないですか」と語気を強めました。

球団史上初の連覇に向け、その道のりはいっそう険しくなりましたが、残り5試合、まだ戦いは終わっていません。

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