(27日、第154回九州地区高校野球大会決勝 明豊6―0神村学園)
今春の選抜2試合で登板した明豊の3投手のうち、1人だけ、今回の九州大会で投げていない投手がいた。背番号11の3年生右腕・一ノ瀬翔舞(しょうま)だ。
準決勝までの3試合のうち、1回戦と準々決勝はともに背番号1の野田皇志が完投。「野田がめちゃくちゃいいピッチングをしていたので焦っていた」と一ノ瀬。そこに、この日の朝、先発を言い渡された。「やっと投げられる」と決勝のマウンドに上がった。
甲子園の健大高崎(群馬)戦で先発したが、立ち上がりに球が高めに浮き、2点を失った。この日も初回、2死一、三塁のピンチを招く。「ここで点を取られたら甲子園と同じパターンになっていた」と川崎絢平監督は見ていた。
しかし、次打者を打ち取って0点で切り抜ける。これで波に乗り、三回から六回まで三者凡退。強打の神村学園打線を7回4安打無失点に抑えた。四球もひとつだけ。「コントロールがよかった」と好投の要因を話した。
選抜のときにつけた背番号10は今大会、下級生の2年生左腕・寺本悠真にもっていかれた。「10番から11番に落ちた。10番に戻れるようにしたい」。少しでも若い番号が欲しい。そんなところにまで闘争心をもっている。
エース野田へのライバル意識ももちろんある。「野田にどれだけついていって、追い越せるかがチームが強くなるカギだと思う」。チーム内競争の激しさが夏に向けた成長への糧だ。(酒瀬川亮介)
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