先週(4月23日~28日)の阪神タイガースは3勝1敗1引き分けで、首位をがっちりキープしました(4月29日時点)。3勝すべてが逆転勝ちという試合。キーマン3選手について、4月29日、矢野燿大前監督が解説しました。
佐藤に代わりスタメン起用の糸原 低めのボールを引っ掛けず拾ってタイムリー
―――タイガースの先週1週間の戦績は、3勝1敗1引き分け。3勝はいずれも逆転勝ちで、非常に気持ちのいい試合が続いたのでは?
「そうですね。負けた1試合はちょっと嫌な負け方だったんですよね。ただ、それを続けないというのがいいですし、タイガースはまたいいリズムを作れたんじゃないですかね」
―――そんな中で、「ここを見てほしい」という矢野さんの注目ポイントを挙げてください。
「まずは、佐藤に代わってスタメンで出た糸原ですよね。代打ではずっと打ってたんですけど、スタメンでも糸原らしいプレーをしていました。タイムリーを打った打席では、相手ピッチャーが『引っ掛けさせて、何とかゴロを打たせたい』と思って低めに投げたんですけど、『絶対に引っ掛けないぞ』というようなバッティングでした。キャッチャーが体で止めにいくような、低いボールでしたからね。これを打った糸原、本当に素晴らしいバッティングでした」
試合の流れを変え逆転劇を引き寄せた梅野の盗塁阻止
―――28日の試合はもう1つ、梅野選手の盗塁阻止。これも大きかったですね?
「そうなんですよ。これは7回、負けているときなんですけど、バッターが村上くんの時にヤクルト側が(盗塁を仕掛けて)動いてきたんです。ヤクルト側としては『ここでもう1点ほしい』ところ。あえて動かなくてもいいかなっていう場面で動いてきたところを、梅野がアウトにした。相手の流れが一気に止まるというか、阪神に流れが来るような状況を梅野が作った」
―――この後に逆転劇が生まれましたね。
「そうですね。僕も解説席から『流れが変わるかもしれませんよ』みたいなことを言って、ちゃんと当たりました。そういう流れが来るんですよ。素晴らしい送球でした」
―――梅野選手は相手の盗塁を読んでいましたか?
「梅野は読んでいなかったと思います。読んでいたら、もうちょっと速いボールを投げさせていたと思うので。緩いボールでもしっかりアウトした梅野はすごいですよね」
―――矢野さんは選手時代キャッチャーでしたが、やはり盗塁を阻止するのは気持ちいいですか?
「アウトにした後は普通にしているんですけど、心の中でめっちゃガッツポーズですよ。自己満足がめちゃくちゃ大きいです」
投げるタイミングを変えて“時間の緩急”を操る岩崎の投球術
―――そうした中でも、矢野さんが特に注目してほしいと指摘するポイントが、岩崎投手の巧みな投球術だと。相手バッターが嫌がるように、あえてタイミングをずらして投げているということなんですね?
「岩崎は球持ちがいいとか、ストレートがいいとかあって、ボールの緩急もあるんですけど、投げるタイミングの緩急も使っているんです。いろいろ工夫があって、投げるまでの間を長くしたりとか。普通、ピッチャーは自分のリズムで投げると抑えられるので、あんまりこういうことをやりたがらない。でも岩崎は相手目線の投球もできるので、あえてリズムを崩しにいっている。『まだ投げない、まだ投げない…』とじらして、投げていく。タイミングを変えるのは、簡単そうでなかなかできないんです。若いピッチャーはなかなかできないんですけど、岩崎ぐらい経験があればできる。相手はすごく嫌がります。タイガースには大竹とか…村上もちょっとできるようになってきているんですけど、岩崎はボールの緩急も使いながら“時間の緩急”も使って抑えることができるんです。これからテレビで野球を見るときに、『ボールを長く持ってるな』とか『すぐ投げたな』とか、そんなところを見てもらったら面白いんじゃないかなと思います」
―――バッターからすると嫌だと?
「すごくイライラするんですよ。『はよ投げろよ!』とか『早く投げてきた!』みたいな感じで、バッターの心理を動かすことができるメリットもあります」
―――今はゲラ投手と岩崎投手のダブルストッパーという形で起用されていますが、この後も岩崎投手に期待がかかりますよね?
「日本一になるためには絶対必要なピースなので、これからも頑張ってもらいましょう」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。