4年後のロサンゼルスオリンピックで新競技として採用される、スカッシュ。24日の全日本選手権女子の注目は渡邉聡美選手(25)。圧倒的な強さで、自身6度目の優勝。オリンピックでもメダルが期待されている逸材です。そんな日本のエースに松岡修造さんが迫ります。
■体操や水泳、トランポリンも経験
スカッシュの競技人口はおよそ2000万人 この記事の写真主にヨーロッパやアメリカで盛んに行われる、スカッシュ。競技人口はラグビーと同じおよそ2000万人。打球速度は時に250キロを超え、さらに壁に跳ね返るボールに対応しないといけないため、コースが読みづらく高度な駆け引きが要求されます。
変幻自在な角度、出てくるショットで… 渡邉選手「いかに変幻自在な角度と出てくるショットを使って相手を翻弄(ほんろう)するのかっていうのも大事なので、気持ちよく相手を出し抜けた時の快感が魅力ですね」
渡邉選手は3年前から本格的に海外プロツアーに参戦。一体、始めたきっかけは何だったのでしょうか?
勧められて始める 渡邉選手「体を動かすのが好きだったんで、体操とか水泳もやってて、トランポリンもやってたりしてたんですけど、その時の友達のお母様がスカッシュをやられてて。『体動かすの好きなら新しいことやってみる?』って言われて。とにかく始めはボール当てるの難しすぎて。それが逆に面白かった。難しいという感覚が新しくて」
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■海外生活で開眼 「自分を貫きとおす」大切さ■海外生活で開眼 「自分を貫きとおす」大切さ
スカッシュ人生が始まる9歳の時スカッシュで今までにない感覚を味わった渡邉選手。ここから、とんでもないスカッシュ人生が始まります。
渡邉選手「ボコボコにされて。その年の一番強かった女の子にボコボコにされて」 松岡さん
「だってまだ始めたばかりじゃないですか」 12歳の時に… 渡邉選手
「根拠もなく勝てると思ってコートに入ってたので、負けたら悔しくて。その当時の女子の世界チャンピオンがマレーシア人だったんで、12歳の時に『スカッシュ強くなれるよ』と言われただけで。マレーシアに行きました」 松岡さん
「僕は親だったら間違いなく反対しますよ」
「信じられますか?12歳で、たった1人マレーシアに行っちゃったんです!」 現在はイギリスに拠点
その後、17歳でジュニアの世界ランキング1位に。現在はスカッシュの本場イギリスへ拠点を移し、元世界ランキング3位のコーチから指導を受けています。
イギリスでの生活を見せてもらいました。
イギリスでの生活は? 渡邉選手「(Q.慣れました?)だいぶ慣れました」
イギリスの人たちがお酒を飲みながら見ているのは、何とスカッシュ。渡邉選手は、アマチュアからプロが参加するリーグ戦に毎週のように出場しているんです。スカッシュ漬けの毎日で気付かされたことがありました。
海外の友達から… 渡邉選手「海外の友達とかには『Don’t be Japanese』と言われちゃったりもする」 松岡さん
「Don’t be Japanese、日本人らしくなるなって」 渡邉選手
「友達の会話の中で意見をただ聞くだけとかあった。スカッシュでは自分のためになると。周りの方にもわがままを通してもらってたと思うので、いろんな意味で成長させてくれたと思います」 松岡さん
「真面目で他人の意見を聞く。それは、日本人のよさでもありますが、あえて自分を貫き通すことの大切さに気づかされたんです!」
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■格上相手に勝利 五輪で目指すは…■格上相手に勝利 五輪で目指すは…
2024年スカッシュ大会「Optasia Championships」その成長ぶりを大きく感じたというのが今年3月。世界ランキング4位の強敵相手にドロップショット!さらにどんどん攻めていきます。中でも際立っていたショットが“ためた”ショット。実は、このショットこそが渡邉選手最大の武器だということです。
ラケットを引かず、打つ方向をギリギリまで見せない 渡邉選手「どれぐらい“ためる”かっていうのが結構キーで。いかにこの時間で目いっぱいためて、相手がもう動き出したいって思わせれるかが大事ですね」
通常は、ラケットを大きく引いて打つことが多いスカッシュ。相手は打つ方向を予想して動きます。一方、渡邉選手の言うためるショットとは、ラケットを引かず打つ方向をギリギリまで見せないことで相手は惑わされています。手首のひねりだけで、逆サイドへ。世界屈指という手首の強さがこのショットを可能にしていました。
格上相手に見事勝利した渡邉選手。現在、世界ランキングは11位となりました。
松岡さん「ロス五輪、目指すところは?」 「金メダルを取りたい」 渡邉選手
「スカッシュのおかげで広げてもらった可能性がいっぱいあるので、日本人でも世界を目指せるんだよっていうのを示していけたらいいなと思う。金メダルを取りたいです」
■松岡修造さんもエール「ビー・聡美でチャレンジ!」
松岡さん「『Don’t be japanese』っていうのは、僕はジュニアの選手によく言っています。日本人らしい謙虚さは、世界で戦ううえで邪魔になったりする時があるんですよ。大事な時で遠慮しちゃったり、自分を出せなかったり。一方で、『Be japanese』っていうのは日本の美徳とか礼儀正しさじゃないですか。彼女は両方兼ね備えていることが素晴らしいなと感じましたね」 大越健介キャスター
「考えてみたら、12歳で行っちゃうわけでしょう。もう、それで日本人の枠を越えてる。けども、和の心を持ってと」 松岡さん
「素晴らしいですね。ロスへ向け、ビー・聡美でチャレンジだ!」
(「報道ステーション」2024年11月25日放送分より)
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