パリ五輪の平泳ぎ日本代表に内定した大分県津久見市出身の渡辺一平選手(27、トヨタ自動車)が13日、津久見市役所や県庁を訪問した。渡辺選手は「メダル獲得と日本記録更新を狙う」と抱負を語った。
渡辺選手は、日本水泳連盟が3月27日に発表した競泳日本代表27人の1人に選ばれ、2016年のリオデジャネイロ五輪以来、8年ぶり2度目の五輪出場となった。17年には世界記録(当時)も出している。
津久見市役所では、職員ら約50人が出迎えた。
石川正史市長らとの面会で、渡辺選手は「つくみん公園からの景色は、めっちゃ津久見に帰ってきたかなって感じ。地元の友だちも、(五輪での)結果を求める友達じゃないので僕の中ですごく安心できる」と話した。
渡辺選手はさらに、県水泳連盟の倉掛賢裕副会長らと県庁舎で、佐藤樹一郎知事と会った。
渡辺選手は「(出場を逃した)東京五輪の挫折を経て、強く大きくなった自分がいると感じている。五輪開幕まであと3カ月弱。がんばりたい」と話した。
佐藤知事は「みんな期待している。県をあげて応援したい」と激励。「1日にどのくらい泳ぐのですか」などと尋ねると、渡辺選手は「10~12キロは泳ぐ」と答えていた。
渡辺選手は記者団に、「五輪メダリストの仲間入りをしたい。過去の自分を超えて、昨日の自分に毎日勝ち続けていきたい」と抱負を述べた。また、「パリ五輪の中継は朝4時ぐらいになるが、大分県のみんなの目が覚めるようなレースにしたい。期待してください」とも語った。(大村久、徳山徹)
懐かしのプールで泳ぎを披露
訪問を終えた渡辺一平選手は13日夕、高校時代の恩師・下城智宏教諭が赴任している津久見高校を訪れた。
同校水泳部員や子どもらを前に、身長193センチと長く大きな手足から繰り出されるダイナミックな泳ぎを披露した。
同校のプールは、渡辺選手が水泳を始めたスイミングクラブ「つくみJSC」の時に泳いでいた。「このプールで育った」と話す。
約1年ぶりに渡辺選手の泳ぎを間近で見た下城教諭は「手の動きがなめらかで、高校時代に比べると無駄のない泳ぎをしている」と目を細めた。
隣のレーンで泳いだ同校の岩崎唯人主将(3年)もつくみJSC出身で、小・中学校の後輩でもある。「泳ぎながら渡辺選手のフォームをみた。なめらかなフォームで進み方がハンパない。自己ベストを出して金メダルを取ってほしい」と語った。
つくみJSCの松本澪(みお)さん(8)は「少ししかキックしていないのに速かった。自分も大会で優勝をねらえるようにがんばりたい」と話した。
下城教諭は、渡辺選手が佐伯鶴城高校に入学した時に赴任してきた。平泳ぎ200メートルで2分10秒を切ることと、日本高校記録の更新を目指して、2人で練習に励んだ。下城教諭は2014年の南京ユースオリンピックで監督も務め、このとき渡辺選手は3年生で、男子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した。(大村久)
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