(13日、プロ野球 東京ヤクルトスワローズ5―2横浜DeNAベイスターズ)

 ヤクルト首脳陣が開幕12試合目で大きな決断をした。「2番村上」。プロ7年目の主砲が2番を打つのはプロ初どころか「人生初」。4番を外れるのは5年ぶりで、高津臣吾監督の下では初めてだった。

 「僕自身、出塁率はだいぶ高いですし、後ろに打てる打者がいた方が点になると監督も思っていたはず。打順に関係なくしっかり集中して打ちました」。六回には逆転につながる四球を選び、七回1死満塁では甘いカーブを右前へ運んだ。開幕から53打席目でようやく刻んだ初打点。一塁ベース上で白い歯を控えめに見せた。

 「2番村上」を監督に進言した大松(おおまつ)尚逸打撃チーフコーチは、そのわけを、リーグ2位(12日現在)の出塁率(4割4分9厘)に加えてこう言った。「打順が変われば気分的に全然違う。本人も苦しんでいたから、何か手助けをしようとね」

 かたくなに「4番村上」にこだわってきた監督は、開幕から負けが込むチーム状況にも触れた。「選手もマンネリ化して負け慣れてしまうと、よくない雰囲気になってしまう。これだけ打順を動かして、刺激になってくれたらいいなと。僕がプレーするわけではないので、選手に何か発信していかないと」

 この試合に限れば、首脳陣の思惑は当たった。村上宗隆が復調の兆しを見せ、「危機」を感じた打線はここ数試合では見られなかったつながりを披露して逆転勝ち。今季2度目の4連敗は免れた。

 今後もこの打順で行くのか。高津監督は「どうでしょう。また明日、これから考えたいと思いますけど」と言葉を濁した。

 村上にかかる期待はもちろん一発。この日の結果にほっとする様子もなく、いつもと変わらぬ調子で言った。

 「今日やるべきことはやれたかなと思います」(堀川貴弘)

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