中国の国旗=ゲッティ

 中国政府は17日、地方政府に対し、不動産企業が抱える未開発の用地や住宅在庫の買い取りを進めるよう指示した。各社の資金繰り問題を直接支援する狙いがある。具体的な手法や支援規模は不明だが、長期化する中国の不動産不況が反転する契機となるか注目される。

 国営新華社通信によると、中国政府が同日開催した住宅政策に関するオンライン会議で、経済・金融を担当する何立峰副首相が表明した。

 何氏は、地方政府に対し、不動産企業が取得しながら住宅建設が進まない用地の買い取り・引き取りを適切に進めるよう指示し「資金繰り問題の解決を助ける」ことを求めた。売れ残りの住宅在庫は「必要に応じて、合理的な価格で(企業から)取得」し、低所得者向けの割安な「保障性住宅」として提供することを認めた。

 中国では2021年夏に中国恒大集団の資金繰り問題が発覚して以降、住宅販売が長期低迷している。政府はこれまで、市民の住宅購入件数などの制限緩和や住宅ローンの引き下げなどを進めてきたが、資金繰り問題は業界全体に広がっており、消費者の購入意欲は冷え込んだまま。中国国家統計局が同日発表した24年1~4月の不動産開発投資は前年同期比9・8%減、住宅販売面積も20・2%減だった。

 今回の政府方針は、政府側による直接支援のため、各社の資金繰りの一定の改善につながる。だが、近年地方政府は財政が悪化しており、買い取りの手法と規模が今後の焦点だ。

 米ブルームバーグ通信によると、売れ残り住宅は、地方政府系企業が国有銀行の融資を通じて割安な価格で購入する案を検討する。しかし、保障性住宅の利用が十分に進まなければ、銀行が大幅な損失リスクを抱えることになる。これを恐れて買い取りが小規模にとどまれば、資金繰り問題の解決は遠のきかねず、当局は難しい判断を迫られている。【北京・小倉祥徳】

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