上場企業決算は、円安を追い風に、2024年3月期で過去最高益を更新する企業が相次いだ。しかし、円安による輸入品の価格上昇が物価高を長引かせ、個人消費は低迷が続く。

帝国データバンクが、5月10-15日に実施した円安の影響に関するアンケート調査(有効回答1046社)によると、昨今の円安は、〈売上高〉に「プラス影響」16.0%、「マイナス影響」35.0%、「影響なし」49.0%だった。一方、〈利益〉については、「プラス影響」7.7%、「マイナス影響」63.9%、「影響なし」28.5%で、3 社に2 社が利益面でマイナスの影響を受けていた。〈売上高〉〈利益〉ともにマイナスの影響を受けている企業は31.7%だった。

企業からは、「円安で輸入時計や宝石が軒並み値上げ。価格が高騰しすぎて消費意欲が低迷し、売り上げも減少」(専門商品小売)、「仕入値の上昇を販売価格に転嫁したところ、得意先の購買意欲が減退」(建材・家具、窯業・土石製品卸売)などのコメントが寄せられた。円安による原材料価格などの上昇が避けられない一方で、自社の商品・サービスへ上昇分を価格転嫁することは厳しい実情があるようだ。

自社にとって適正な為替レートについて聞いたところ、「120円以上~130円未満」が 28.9%で最も多く、「110円以上~120円未満」21.2%が続いた。半数の企業がが「1ドル=110円~120円台」を適正な水準と考えており、足元の1ドル=150円台とは大幅なかい離がある。

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