旭化成の工藤幸四郎社長は事業構造改革を加速させると話した(20日、都内)

旭化成は20日、石油化学関連事業の構造改革について、売り上げ規模で2000億円程度の事業の売却や撤退などを検討すると発表した。収益悪化を踏まえ、25年3月期内の意思決定を目指す。電子部品、材料事業の成長や構造改革で、26年3月期の連結営業利益は2100億円以上と過去最高益を見込む。

25年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画の進捗についての説明会で明らかにした。石化関連や電池材料などを扱うマテリアル事業は収益性が低下しており、25年3月期の営業利益予想は629億円と中計策定当時の目標(1300億円)を大きく下回る。

旭化成は石化関連事業のうち、売上高で約6000億円分の事業を構造改革の対象としており、3分の1程度に当たる約2000億円分の事業を売却・撤退などの検討対象とする。残りの3分の2は生産能力の適正化や、他社との連携などを模索する。6000億円のうち7割強の事業で24年度内に決定または方向性を示し、「構造転換を前倒しで進めていく」(工藤幸四郎社長)。

主力の樹脂原料「アクリロニトリル」では、タイの拠点について合弁先と今後の事業の方向性の議論を進めている。「誰がベストオーナーかという視点も含め複数の方法があり、最終の詰めをやっている。上期中にはっきりさせたい」(工藤社長)とし、日本、韓国の拠点についても24年度内をめどに改革の方向性を示す方針だ。

中計期間以降の見通しとして、26年3月期の連結営業利益は過去最高の2100億円以上を目指すとした。現中計で当初目標としていた営業利益2700億円の達成は27年3月期〜28年3月期と2、3年遅くなると見込む。

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