北九州市若松区響町に国内初の洋上風力発電に特化した運用・保守管理(O&M)の訓練施設が完成し、21日に完工式と訓練のデモンストレーションがあった。北九州市が目指す洋上風力総合拠点化への弾みになりそうだ。
風力発電機メンテナンスの北拓(北海道旭川市)と商船三井(東京都)の共同事業で、経済産業省の補助を受け整備した。訓練施設は高さ約23メートル、直径6~6・7メートルで、8メガワット級風車の基礎部分やタワーの一部を再現している。
ここでは、波の揺れを再現する装置を使っての作業船からの移乗▽タワー内でのけが人発生時の救助▽クレーン操作――など9種類の訓練ができる。北拓の技術者をコーチ役に、10年間で1500人程度の訓練を目標としている。
洋上風力発電は、再生エネルギー普及の切り札として急速に整備計画が進むが、技術者などの人材不足が懸念されている。完工式で林龍太・北拓社長は「洋上風力市場はこれから大きく拡大発展していく。業界の未来に貢献する志の高い人を募り、実践的なトレーニングを提供したい」とあいさつした。
武内和久市長も「O&Mは風力発電コストの3割を占め高度な技術が必要な重要分野。そのトレーニングが行われることは市が目指す総合拠点化に向けた大きな一歩。東アジアの総合拠点を作り上げたい」とのメッセージを寄せた。
北九州市が目指す総合拠点とは、関連製造業を集積する製造産業拠点▽O&M拠点▽風車の事前組み立てをする積み出し・建設拠点▽風車部品の搬出入の物流拠点――が集積したもの。市は西日本で唯一、洋上風力の基地港湾に指定されており、2025年には国内最大規模となる風車25基の「響灘洋上ウインドファーム」が稼働する予定だ。【山下智恵】
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