タクシー配車アプリのDiDiモビリティジャパン(東京・港)は6月から、ライドシェア車両も呼べる新サービスを始める。福岡市や周辺市町でも、一般ドライバーが有償で乗客を送迎する「日本版ライドシェア」が解禁される。福岡都市圏では41事業者がライドシェアへの参入意向を示しており、こうした仲介アプリの需要が高まっている。
福岡県内で日本版ライドシェアが解禁されるのは福岡市や周辺市町の計15自治体。DiDiモビリティジャパンは6月上旬以降、既存の配車アプリ「DiDi」をアップデートし、福岡エリアをはじめ東京や大阪など全国12地区でライドシェアに対応した新仕様に変更する。
新アプリでは乗客が配車時に「一般タクシー」か「タクシー・自家用車」を選択する。「タクシー・自家用車」を選んだ場合のみ、タクシー運転手に必要な第2種免許を持たない一般ドライバーが運転する車両が迎えに来る可能性がある。タクシー車両とライドシェア車両の運賃は同一。
日本版ライドシェア制度ではタクシー事業者が運行を管理し、ドライバーが走りながら客を探す「流し営業」ができない。原則、DiDiなどの配車アプリを通じて予約しなければならず、支払いはキャッシュレス決済のみで現金は使えない。
DiDiではライドシェアを利用するにあたって、クレジットカードやデビットカード、「PayPay(ペイペイ)」をアプリに登録する必要がある。メーターを搭載していない自家用車を念頭に置いているため、乗車地と目的地を設定すると事前に運賃が計算される。大幅なルート変更などがない場合には降車時にその料金が支払われる仕組みだ。
九州運輸局によると、福岡都市圏のタクシー事業者95社のうち41社がライドシェアに参入する意向だ。タクシー不足分を補うことを目的に、九州運輸局が曜日や時間帯に応じて最大計260台のライドシェア枠を設けて各事業者に割り当てた。許可申請が通った事業者から順次、ライドシェアを始められる。
4〜5台分の枠を得た福岡南国交通(福岡市)は同社に眠る遊休タクシーを活用する。野田部耕作・豊栄営業所長は「運転手不足により稼働しているタクシーは全体の6割程度」といい、今後ライドシェアドライバーを募集する予定だ。今春退社した元運転手や配送関係のアルバイトで生計を立てている人から希望を聞いているという。
DiDiモビリティジャパンによると、福岡エリアでは5月時点で福岡南国交通を含めて同社サービスを利用予定なのは4社のみ。花田裕二シニアマネージャーは「まだライドシェアに対して様子見の事業者が多いようだが、運用が始まればもっと増えていくはずだ」とみる。
沖縄県でも7月をめどに一般ドライバーが遊休タクシーや自家用車で乗客を送迎するライドシェアサービスが始まる。まずは石垣市でスタートし、他の地域でも準備が整い次第、サービスを展開していく。(橋爪洸我)
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