24時間耐久レースでゴールし、迎えられるトヨタ自動車の水素エンジン車=静岡県小山町の富士スピードウェイで26日午後

 開発中の水素エンジンを搭載するトヨタ自動車のカローラが、26日まで富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開かれた24時間耐久レースに挑んだ。水素系統に大きな不具合はなかったが、ブレーキの不調で長時間停止。試練続きの悔しい完走だった。ハンドルを握った豊田章男会長は「課題があるということは、改善できるということだ」と前を向いた。

 トヨタは二酸化炭素(CO2)を排出しない水素エンジン車の市販化を目指しており、24時間レースへの挑戦は4年目だ。サーキットの過酷な環境で起こるトラブルは開発の糧になるため、トヨタを含む各メーカーが開発中の車両を持ち込んで走らせている。

 水素エンジンには進化もみられ、1回の水素充塡(じゅうてん)での航続距離は従来の90キロから約140キロに伸びた。燃料タンクの形状を円筒形から楕円(だえん)形に変更し、多くの水素を積めるようになった。

 昨年はポンプを2回交換し計7時間をロスしたが、今年は圧力を逃がして摩耗を抑える技術を取り入れ耐久性が向上。ポンプは無交換で済んだ。

 前例のない車づくりは難問の連続だ。モータースポーツ部門のトップを務める高橋智也氏は昨年11月、市販化を頂とする登山の「7合目」と話したが、この日は「水素山だけでなく、いろいろな山を制覇しなければ良い車にはならないと痛感した。何合目かは言わない」と語った。

 今回は歌手の近藤真彦さんもドライバーを務め、これまで以上に注目を集めた。

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