日本航空宇宙工業会(東京・港)は28日、SUBARU(スバル)の中村知美会長が同日付で会長に就任したと発表した。満岡次郎会長(IHI会長)は退任した。中村会長は同日の記者会見で「日本を取り巻く安全保障環境が厳しく複雑になっている」と話し、防衛分野の産業基盤を強化する考えを示した。
民間機では航空機大手の米ボーイングの品質問題が続く。中村氏は「旅客需要は旺盛だ。品質を維持しながら増産に取り組む」と述べた。日本企業とボーイングは関係が深い。中型機「787」では機体の35%を三菱重工業など日本メーカーが製造している。
経済産業省は3月、2035年ごろをめどに国内で次世代の旅客機の開発を進める方針を示した。会見に同席した満岡前会長は、「日本企業は技術力だけでなくルールメーキングに参画していくことが大事だ」と指摘した。
三菱重工が開発に失敗した三菱スペースジェット(MSJ)では、米当局の型式証明(TC)の取得が難航した。次世代航空機に使う新素材や脱炭素技術で標準化に乗り遅れないことが求められる。
会長職はスバルのほかIHI、三菱重工、川崎重工業の計4社から、代表者が2年任期で就任することが慣例となっている。
同会が同日発表した23年度の航空機生産額(速報値)は1兆6868億円で、前年度に比べて20%増加した。うち民間分野は26%増の1兆2067億円、防衛分野は6%増の4801億円だった。
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