大型工場の建設が進む深圳市鵬新旭技術(PST)=広東省深圳市で2024年4月1日、小倉祥徳撮影

 中国政府が半導体の新たな国策ファンドを設立した。資本金は過去最大の3440億元(約7・5兆円)。米国が先端半導体の対中輸出規制を強化する中、自国の半導体供給網の構築を急ぐ。出資者には中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が本社を置く広東省深圳市の投資会社も含まれており、同社への支援を強化する可能性がある。

 中国の企業登記情報大手「天眼査」によると、政府系投資ファンド「国家集成電路産業投資基金」の第3号は24日に設立された。筆頭株主は財政省で、出資比率は17%。そのほか大手国有銀行や上海市、北京市、深圳市など地方政府系の投資会社が株主に並ぶ。2014年に設立された第1号ファンドの資本金は約1000億元、19年の第2号は約2000億元で、今回は大幅に増額された。

深圳市鵬芯微集成電路製造(PXW)の新工場建設現場=中国広東省深圳市で2024年4月1日、小倉祥徳撮影

 これまでのファンドは、ファーウェイのスマートフォン向け半導体の製造を受託する中芯国際集成電路製造(SMIC)や、メモリー大手の長江存儲科技(YMTC)、半導体製造装置大手の北方華創など130件以上の案件に投資してきた。これらの企業は、ファーウェイ同様、米国による先端半導体の禁輸対象となるなど、米中対立の影響を受けている。

 ファーウェイは現在、先端半導体を搭載した最新スマートフォンや、人工知能(AI)向け半導体販売を増やしており、地元深圳などの半導体メーカーとの連携も強化している。第3号の投資先は不明で、今後どのような方針で投資を進めるか注目される。

 半導体支援を巡っては、米国政府やこれに協力する日本や韓国、欧州連合(EU)なども兆円単位の投資を進め、それぞれ関連産業の育成を強化している。中国の習近平指導部は、ハイテク分野の「自立自強」の構築を急いでおり、半導体分野の米中競争は一層激しくなりそうだ。【北京・小倉祥徳】

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