2025年大阪・関西万博のユニホームに製品が採用された「西垣靴下」の西垣和俊社長=県庁で2024年4月15日午前10時58分、川畑岳志撮影
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 2025年大阪・関西万博で運営スタッフらが着る公式ユニホームに、大和高田市にある製造会社「西垣靴下」が開発した立ち仕事でも疲れにくい靴下が使われることが決まった。西垣和俊社長(66)は「独自技術を盛り込んだ自信作を万博で使ってもらえてうれしい。靴下の一大生産地・奈良の技術と品質を、日本だけでなく世界に知ってもらいたい」と話した。

 採用されたのは、同社の主力商品「疲れしらずのくつした」。着用すれば立ち仕事での疲れを自然に減らせる工夫を凝らし、2019年に発売した。万博向けには改良を加えた特別仕様の1万足を無償で提供。来場者の案内などを担う「会場サービスアテンダント」らに使ってもらう。

 同社は自社の製品を生かして万博の運営に協力したいと考えていた。23年春ごろ、運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)が物品を提供する会社を探していると知って応募していた。

 疲れしらずのくつしたは、足底の土踏まず周辺部分のクッション性を独自に開発した特許技術で高めた。また「靴の中で足が動くと疲れにつながる」ことから、靴と靴下がずれにくい仕組みを考案。靴下の材料の糸にゴムを編み込んで滑りにくくし、しっかり踏ん張れるようにした。

 万博向けの特別版は、公式ユニホームの靴がスニーカーであることに合わせ、丈がくるぶしよりも下になるローカット型を新作。スタッフらが長時間歩き回っても靴下が脱げないよう、テーピング技術でかかとからずれない処置を施した。

2025年大阪・関西万博の公式ユニホームに採用された靴下。裏側(右)を見ると、足底は独自の編み方でクッション性が高く疲れにくくなっている=県庁で2024年4月15日午前10時58分、川畑岳志撮影
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 靴下のデザインは白が基調。左右の足に合わせて対称的に織っており、どちらの足にはくかを区別しやすいよう右足用の「R」と左足用の「L」の文字を入れた。海外でも人気の高まりつつある万博の公式キャラクター「ミャクミャク」の体の色とそろえた。

 西垣社長は「はいてもらったら、すぐに違いが分かるはず」と話し、「万博の運営では立ち仕事が多いと思うが、夕方になっても疲れ知らずだと実感してもらえるだろう」と語った。

 同社は大和高田市で1953年に創業し、紳士婦人用靴下やサポーターを企画・製造してきた。万博に提供した靴下と全く同じ商品は万博協会との契約により販売できないが、今後、疲れしらずのくつしたのローカット型を新たに開発し、発売する予定だという。【川畑岳志】

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