トヨタ自動車の豊田章男会長は3日、「ヤリスクロス」や「クラウン」など計7車種の認証試験で不適切な行為が見つかったことを受けて都内で記者会見した。豊田会長は「トヨタグループの責任者としてお客様、車ファン、全てのステークホルダーの皆様に心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

国土交通省が関連メーカーに求めた内部調査で3日判明した。現在も生産中の「カローラフィールダー」など3車種では歩行者・乗員保護試験でデータの不備が見つかり一時出荷・販売を停止する。豊田会長は「トヨタとトヨタ東日本の2社にまたがる問題だ」との認識を示した。

発覚した認証不正は主に6種に分類される。「クラウン」や「アイシス」では、エアバッグがタイマーで作動するよう不正に加工していた。また「シエンタ」では、規定と異なる重量で衝突試験を実施していた。レクサスRXでは、エンジン出力試験において、狙った出力が得られるようにデータを改ざんしていたという。

不正が起きる要因について、豊田会長は「短い納期で何度もやり直しをする。最後の方で大きな負担がかかってしまったのではないか。長いリードタイムで多くの人がかかわり、1つの理由ではない」と説明した。

トヨタの生産台数は世界で年1000万台を超える。豊田会長は「1000万台の神がいると感じる」と話し、世界で様々な顧客層に車を提供している中で品質を担保する難しさがあると説明した。

トヨタのカスタマーファースト推進本部長の宮本眞志氏は「規模を理由にはできないが、プロセスは複雑怪奇になっている。課題はあると認識している」と述べた。

こうした不正が起きる構造については「どうして滞留が発生しているのか、今の段階では各工程ですべき作業などを標準化し、整理した段階だ。年末くらいまでかかる」と話した。

豊田会長は今回不適切な行為が指摘された車種について「法規に定められた基準はクリアしている」としながらも「こうした行為は認証制度の根底を揺るがす行為で、自動車メーカーとしては絶対にやってはいけない」と述べた。

不正発覚に伴い、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場(宮城県大衡村)と岩手工場(岩手県金ケ崎町)の計2ラインを当面停止する。仕入れ先1000社以上に影響が出る可能性があり、個別に補償交渉を進める。豊田会長は「当局に全面協力しながら、いち早く生産開始することに全力を尽くしたい」と強調した。

仕入れ先などに対しては「納期でご迷惑をかけている」とした上で、「トヨタだけの判断で納期が決められないので仕入れ先にはご理解頂きたい」話した。

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