日立製作所の姿は15年間で大きく変わった(09年4月の川村隆会長兼社長㊧と24年4月の小島啓二社長)

日本経済新聞電子版のビジネスセクションで5月から、新コラム「サーチライト」と「トリセツ×カイセツ」の不定期連載を始めました。ビジネスの最前線を取材する記者が普段の記事では書ききれない裏話やこぼれ話などを織り交ぜ、ニュースを深掘りします。特に読まれた記事を中心に、まとめ読みでご紹介します。

「サーチライト」

日経産業新聞のコラムだったサーチライトが、電子版で復活しました。記者の独自の視点でニュースの裏側に迫ります。

よく読まれたのが5月20日公開の「日立の最大赤字から15年、『総合電機8社』分かれる明暗」です。かつてテレビや半導体、パソコンで競い「総合電機8社」と呼ばれたのがNECとシャープ、ソニーグループ、東芝、パナソニックホールディングス、日立製作所、富士通、三菱電機(五十音順)。日立が社会インフラ、ソニーGがエンターテインメントに力を入れて非コア事業の改革をした一方、東芝やシャープは後れを取りました。この15年間を電機業界の担当が長い記者が解説しています。

中期経営計画を発表する東芝の島田太郎社長(左)と池谷光司副社長(5月16日、東京都港区)

東芝の中期経営計画の記者会見を描いた「東芝の新中計、記者会見で見たトップの他人ごと発言」も読まれました。島田太郎社長の発言がどこか他人ごとのようだったという、担当記者の分析です。

  • ・日立の最大赤字から15年、「総合電機8社」分かれる明暗
  • ・東芝の新中計、記者会見で見たトップの他人ごと発言
  • ・半導体補助金4兆円への疑問 韓国が羨む「日本の財布」
  • ・ソニー流、エンタメの稼ぎ方 青天井の「推し活」に解

「トリセツ×カイセツ」

もう一つのコラムがトリセツ×カイセツです。企業の新しい動きの「トリセツ」を紹介しつつ、一歩深掘りした「カイセツ」するというコンセプトです。

NTTドコモの前田義晃氏(左)とKDDIの高橋誠氏はいずれも非通信分野を歩んできた

お薦めは「ドコモ新社長、経歴は「通信じゃないほう」 6年前KDDIも」。6月にNTTドコモの新社長に就く前田義晃副社長はリクルートからドコモに転じ、本流の通信でない事業分野でキャリアを重ねてきました。人口が減る中、携帯電話頼みでは立ちゆかなくなるのは明らかです。金融など通信インフラに乗る様々なサービスがカギです。

6年前に就任したKDDIの高橋誠社長も同様に、非通信の分野を歩んできました。偶然にも、前田氏と高橋氏の座右の銘は同じ「為(な)せば成る」でした。

「『25年の崖』は危機か好機か IT大手の受注残、5年で2倍」も読まれました。物流や建設の現場で人手不足が強まる「2024年問題」が注目ですが、じつはIT業界では25年の崖がにわかに関心を集めています。

稼働が20年超の古いシステムが増えるほかエンジニアが高齢化し、出遅れたデジタルトランスフォーメーション(DX)がさらに停滞すると懸念されています。システムの刷新やクラウドへの移行などが必要になりますが、課題もあります。最近では江崎グリコが老朽システムを更新する際に障害が起き、主力の洋生菓子「プッチンプリン」など冷蔵品の出荷が止まったこともありました。

  • ・ドコモ新社長、経歴は「通信じゃないほう」 6年前KDDIも
  • ・「25年の崖」は危機か好機か IT大手の受注残、5年で2倍
  • ・ドコモなど3社、AI大競争の号砲 値下げのトンネル抜け
  • ・KDDIが描くコンビニ像 真の売り物は最新テック

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。