金融庁=東京都千代田区で2020年1月、古屋敷尚子撮影

 損害保険大手4社で相次いで発覚した不祥事を受けて金融庁が設置した有識者会議が7日、報告書案をまとめた。問題の温床となった損保代理店の監督強化に向けた自主規制機関の設置などを求めた。金融庁は今後、保険業法の改正も視野に具体的な検討を進める。

 4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。金融庁は、中古車販売大手ビッグモーター(BM、現ウィーカーズ)の保険金不正請求問題で損保ジャパンに、企業向け保険で価格調整していた問題では全4社に対し、それぞれ業務改善命令を出していた。

 損保各社は多くの商品を代理店経由で販売している。報告書はBMが大規模な代理店機能を持ち合わせており、関係悪化を懸念した損保会社がBMに対して教育や指導をせずに不正請求を助長させ、「多数の違法、不適切な行為の一因となった」と指摘。金融庁による監督強化に加え、法令に基づく自主規制機関の設置を検討するよう求めた。

 価格調整問題では、損保各社が顧客企業に遠慮し、企業内に置かれた代理店を適切に指導できない恐れがあるとして、ルール策定を求めた。また、代理店への過度な便宜供与や、企業との関係を維持するための政策保有株などの慣行も「適正な競争に対する意欲を阻害していた」として、金融庁に監督するよう求めた。

 有識者会議で井林辰憲・副内閣相(金融担当)は「損保会社が業務改善のための不断の取り組みを自ら行うことが重要だ。金融庁もそうした対応を監督し、しっかりフォローアップしていく」と述べた。【井口彩】

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