イギリスの投資ファンド「パリサー・キャピタル」は、投資先の「京成電鉄」への株主提案で、東京ディズニーリゾートの運営会社「オリエンタルランド」の株式の一部を売却して、保有割合を今の21%から15%未満まで引き下げ、売却で得た資金を運賃の値下げや駅の安全対策などに充てるよう求めています。
ファンドの最高投資責任者、ジェームズ・スミス氏がNHKのインタビューに応じ「オリエンタルランドの株式が、京成電鉄の企業価値に比べ大きすぎる。会計上のゆがみとなり株主価値を毀損している」と述べ、本業の鉄道事業に注力し、企業価値の向上に努めるべきだと強調しました。
そのうえで、東京証券取引所が企業に資本コストや株価を意識した経営を要請していることに触れ「日本の株式市場は世界で最もすばらしい市場の1つだ。他にも、魅力的な将来性や価値を持つ会社がたくさん存在している。京成電鉄への提案は、多くの日本企業にとって重要な前例になる」と述べ、日本企業への投資や提案に前向きな考えを示しました。
京成電鉄は「中長期的な企業価値や、株主共同の利益を最大化させるためには、売却の方法やタイミングの慎重な検討が必要だ」などとして、この提案に反対することを決めています。
京成電鉄 オリエンタルランドの株式売却の提案に反対の方針
京成電鉄は、東京 上野と、成田空港を結ぶ京成本線をはじめとする鉄道事業のほか、グループとしては、不動産事業やホテル事業などを手がけています。
また、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株式の21%余りを保有する筆頭株主です。
施設のある千葉県浦安市を通る鉄道は、運行していないものの、1960年に、当時の京成電鉄の社長らの発案で、テーマパークの建設を目指して会社を設立した経緯があり、それ以来、60年以上、筆頭株主となっています。
京成電鉄によりますと、保有するオリエンタルランドの株式は、時価でおよそ1兆8000億円と、自社が発行する株式の時価総額、およそ1兆円を上回る規模となっています。
これについて、ファンド側は「会計上のゆがみになっている」として、保有割合を15%未満まで減らすよう求めています。
これに対し、会社は5月の取締役会で反対の方針を正式に決めています。
その理由として、これまで大規模な投資をするタイミングでオリエンタルランドの株式を売却し、資金を調達してきた経緯をあげたうえで「大型投資など、明確な資金の使途がある場合の原資として活用を検討すべきであり、中長期的な企業価値や、株主共同の利益を最大化させるためには、売却の方法やタイミングの慎重な検討が必要だ」としています。
さらに、ファンド側が「東京ディズニーリゾートが沿線上になく、シナジー効果が弱い」と主張していることに対しては「施設と隣接するホテルとを往復するバス事業を中心とした来場者の輸送や、施設内の建築工事やメンテナンスなどを通じて、開園以降、有形無形のシナジーを創出してきた」と反論しています。
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