目次

  • 円相場一時 1ドル=156円台前半まで値下がり

  • FRBの金融政策 これまでの経緯

FRBは12日までの2日間、金融政策を決める会合を開きました。

公表された声明では「インフレはこの1年で和らいできているが、まだ高く、2%の物価目標に向けた進展は緩やかだ」と指摘しました。

そして会合の結果、政策金利を現在の5.25%から5.5%の幅と、およそ23年ぶりの高い水準のまま据え置くことを決定しました。FRBとしては高い金利水準を維持することでインフレを抑え込むねらいです。

また、合わせて発表された会合の参加者による政策金利の見通しは2024年末時点で5.1%となりました。政策金利の1回あたりの引き下げ幅を0.25%とすると、年内に1回の利下げが行われる想定です。利下げの想定回数は前々回・去年12月と前回・ことし3月時点の3回から減りました。

この日発表されたアメリカの5月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて3.3%の上昇となり、上昇率は2か月連続で前の月を下回りました。

ただ、FRBの会合の参加者は2%の物価目標に向けてインフレ率の低下が想定通り進んでいないという厳しい認識を示した形です。

パウエル議長が会合後の記者会見で今後の利下げの方針についてどういった発言をするか、注目されます。

円相場一時 1ドル=156円台前半まで値下がり

12日のニューヨーク外国為替市場では、FRB=連邦準備制度理事会が示した政策金利の見通しを受けて円安が進み、見通しの発表前に1ドル=155円台後半だった円相場は一時、1ドル=156円台前半まで値下がりしました。

FRBの会合の参加者による政策金利の見通しが年内に1回の利下げが行われるとの想定で、ことし3月時点の見通しから減ったことから、FRBが利下げを早い時期に始めるとの見方が後退し、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが強まりました。

FRBの金融政策 これまでの経緯

FRBが利上げを開始したのはおととし3月。

それまでのゼロ金利政策を解除して金融引き締めへと転換します。

金融引き締めによって景気を冷やすことでインフレを抑えこむ狙いでした。

しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、おととし6月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べ9.1%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。

このためFRBはおととし6月から11月の会合まで4回連続で0.75%という異例の大幅利上げに踏み切りました。

こうした中、急速な利上げの影響を受けて去年3月から5月にかけては3つの銀行が経営破綻しました。

それでもFRBはインフレ抑制を優先にする姿勢を示し、去年3月と5月にそれぞれ0.25%の利上げを決定しました。

続く6月の会合ではそれまでの金融政策の影響を評価するためなどとしておととし3月以降、初めて利上げを見送りましたが去年7月の会合では、インフレの要因である人手不足が続いていることなどから0.25%の利上げを決定。

これで政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来、22年ぶりの高い水準となりました。

FRBの利上げはこれでおととし3月以降、あわせて11回に及びました。

去年9月以降の会合では物価の上昇が落ち着き、インフレの要因となっていた人手不足に改善の兆しが見られたことなどから6会合連続で利上げを見送りFRBがいつ利下げに踏み切るかが焦点となっていました。

ただことし1月から3月にかけてインフレの根強さや経済の堅調さを裏付ける経済指標が相次ぎ、市場ではFRBの利下げが当初、市場が見込んでいた時期より大幅に遅れるという見方が広がりました。

4月以降は景気の減速を示すデータも多く発表されたもののサービス業など非製造業の景況感を示す指数や先週発表された5月の雇用統計が農業分野以外の就業者が市場の予想を上回りました。

労働需要が底堅いことが示され、インフレの収束が明確には見通せないなか、市場では再び利下げを始める時期が遅れるとの見方が出ていました。

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