政府は18日、2024年版の「観光白書」を閣議決定した。インバウンド(訪日外国人客)は22年以降に急回復し、23年の1人あたり消費単価が新型コロナウイルス流行前の19年比で31%増えた。体験型の「コト消費」に成長の余地があり、地方でもツアー商品で誘客を見込めると指摘した。
スポーツ観戦のチケットや美術館の入場料などの「娯楽等サービス費」は19年比で52%増加した。観光庁の調査によると、1人あたりの平均支出額は9097円で19年の5970円を大きく上回った。
宿泊費は59%増の6万9746円、交通費は47%増の2万3852円だった。買い物代は5万5192円で1%減少した。
白書は「体験消費を含むコト消費の成長の兆しがみられる」と分析した。23年に娯楽等サービス費がインバウンドの消費単価に占める割合は5.1%だった。米国は13.5%に達しており、拡大の余地があると言える。
娯楽等サービス費の具体的な支出先は出発国・地域で違いがあった。中国や韓国からの訪日客はテーマパークへの支出が多かった。米国や英国、フランスは美術館や博物館、オーストラリアはスキー場リフトへの支出割合が高かった。
白書はインバウンドの都市部への集中がコロナ禍後に加速していると説明した。訪日客の延べ宿泊者数に占める東京・大阪・名古屋の三大都市圏の割合は19年の62.7%が23年に72.1%に上昇した。
こうした点をふまえ、白書は「地方誘客、地方部の消費拡大のより一層の推進が必要」だと訴えた。客の出身国・地域別の消費傾向を考慮した商品開発に加え、交通手段の拡充や多言語への対応といった環境整備が求められる。
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