NTTの定時株主総会では株価下落に関する質問が相次いだ

NTTは20日、東京都内で定時株主総会を開いた。株式市場では2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)の減益見通しを嫌気してNTT株の下落が続く。島田明社長は「中期経営戦略を着実に進めることにグループ各社のベクトルを合わせ、株価を上げるように努力していく」と述べた。

総会は午前10時から始まり、約1時間半で終了した。剰余金の配当と島田社長ら10人の取締役選任の議案を諮り、会社提案は可決した。取締役に兵庫県議でコンサルティング会社代表の男性を起用する株主提案は否決した。

NTTは5月10日、25年3月期の連結純利益が前期比14%減の1兆1000億円になる見通しだと発表した。地域通信事業で固定電話の需要減などが響く。株価は下げ止まらず、20日の終値は決算発表前と比べて13%安の146円まで下落した。

株主からは株価に対する現状認識や向上策を問う質問が相次いだ。広井孝史副社長は株価下落の原因が業績見通しの弱さにあるとしたうえで「株主の期待に応えられない水準であることは厳粛に受け止めている」と陳謝した。

そのうえで「事業動向は比較的堅調に推移している」と述べた。28年3月期を最終年度とする中期経営計画では、AI(人工知能)やデータセンターを中心に計8兆円を投じる。成長分野への積極的な投資や既存事業の効率化を通じて「業績を回復し株価上昇につなげる」とした。

NTT法の見直しについても質問が出た。4月に改正NTT法が成立し、責務として課されてきた研究成果の開示義務は撤廃された。一方、固定電話による全国一律のサービス提供については見直し議論が続く。広井副社長は「市場環境や技術動向に合わせた見直しが必要」とした。

NTTは23年に1株を25分割し、最低投資金額が1万7000円台に下がった。個人が投資しやすい環境が整い、個人株主は分割前と比べて倍増の184万人(24年3月時点)に増えた。来場株主は前回比2.5倍の1277人、オンライン視聴は同3倍の9246件となった。

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