EUから日本への研究目的の個人データ移転がしやすくなる

個人情報保護委員会は21日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会との間で、欧州から日本の研究・行政機関向けに個人データの移転をしやすくするための共同声明を結んだと発表した。年内にも日欧で医療分野の共同研究などが容易になる。

EUが運用する一般データ保護規則(GDPR)は、域外に個人データを持ち出す際の管理が厳しい。本人の同意の取り直しなどの手続きが必要だが、EUが保護水準の高さを保証する「十分性認定」を与えた国への移転では、手続きが簡略化される。

日本は2019年に企業向けのデータ移転は認定を得ていたが、研究機関や行政は対象ではなかった。個情委は21年の改正個人情報保護法で研究や行政分野の保護水準を引き上げた。両委員会は新たに結んだ共同声明で対象を行政分野などに広げる協議を「可能な限り早期に妥結させる」と明記した。24年中にも拡大を目指す。

研究機関同士で円滑にデータ共有ができれば、日欧の臨床データを活用した医療・創薬の研究が活発になると期待される。個人データが扱いやすくなることで、欧州から日本の地方自治体などへの留学生の受け入れもしやすくなる。

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