日工会の稲葉会長は「中国市場の動向が大きく注目されている」と述べた(25日、東京都港区)

日本工作機械工業会(日工会)が25日発表した5月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比4%増の1245億円だった。プラスは17カ月ぶり。中国を中心としたアジアで、一般機械や自動車に関連した受注が回復しつつある。

アジア向けは18%増の426億円だった。プラスは2カ月連続。同地域の受注額の7割近くを占める中国単体は19%増えた。25日に記者会見した日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「自動車関連や次世代スマートフォン関連の投資があり、中国市場の動向が大きく注目されている」と述べた。

北米向けは9%増の276億円だった。航空・造船・輸送用機械に関連した大型受注があり、2カ月ぶりにプラスに転じた。欧州向けは4%減の172億円と5カ月連続のマイナスだった。国内向けは8%減の348億円。中小企業の投資控えが続き、21カ月連続のマイナスとなった。

日工会は6月上旬、会員企業向けに7〜9月期の受注見通しを調査した。「増加」と回答した割合から「減少」と回答した割合を差し引いた指数はマイナス6.8ポイントだった。3カ月前に実施した4〜6月期の受注見通し(マイナス8.2ポイント)からわずかに改善した。

稲葉会長は「9月時点の明確な回復局面の実感は会員企業の間で見解が分かれているが、10〜12月期以降はより多くの会員が前向きに捉えている印象だ」と語った。

円安が続く為替レートについては「工作機械にマイナスではないが、手放しでは喜べない」とした。輸入部品の高騰によるコスト増などの影響を受けており、「個人的な意見だが、1ドル=130円前後で安定するのが最も業界にとって望ましいだろう」と述べた。

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