イスラエル企業に出資する湖北工業の本社(滋賀県長浜市)

光情報通信の関連部品で世界有数のメーカー、湖北工業は25日、イスラエルのレーザーシステム開発会社、アリエル・フォトニクス・アセンブリーに出資すると発表した。発行済み株式の14.61%を457万8000ドル(約7億円)で取得する。新技術の開発を進め、高速大容量の先端ネットワークとして米スペースXなど各社が競う低軌道衛星通信システムなどへの参入を目指す。

アリエル社は2007年設立で、防衛・産業機器関連のレーザー技術では世界最高水準の企業の一つだとされる。湖北工業は「世界シェア5割以上」と公言する海底ケーブル向け光アイソレーターなどの性能向上にアリエル社の技術を活用するほか、スペースXの「スターリンク」がけん引してきた低軌道衛星通信システム関連で新たな技術や部品の開発を目指す。

高度160〜2000キロメートルにたくさんの衛星を配置する低軌道衛星通信システムは比較的低コストで効率のよい高速大容量のネットワークを構築できるため、参入の動きが相次いでいる。衛星間通信はレーザーを利用しており、湖北工業はこれまでに培った光通信技術をアリエル社との融合で発展させ、競争力のある技術や部品を供給できるとみている。

湖北工業は今後1カ月程度で出資契約を締結する方針。契約には1年以内にアリエル社の株式の75%程度を追加取得できるコールオプション契約を含む。アリエル社とは23年に業務提携し、リード端子事業で開発を進めている新工法「レーザー溶接」で同社の技術を使っている。

湖北工業はこの春、米シリコンバレーに研究開発拠点を置くエピフォトニクス(神奈川県大和市)を買収した。同社は光情報通信の省電力、高速化を進める「PLZT薄膜形成技術」で知られる。この技術を活用し、データ通信容量の急拡大が求められる生成AI(人工知能)や、光量子コンピューターなどの分野で新製品を開発する方針だ。

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