船場の生地卸のトレンドを読む力と豊富なストックをアピールする

繊維の街として知られる大阪・船場の生地卸が連携して、独自ブランド「SEMBA TEXTILE(船場テキスタイル)」を立ち上げた。日本の生地は海外で人気が高まっており、トレンドを読む力や豊富な品ぞろえをアピールする。2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の場も活用する。

大阪を中心とするアパレル、織物、ニット業界の500社超が加盟する協同組合・関西ファッション連合(大阪市)が28日発表した。船場にルーツを持つか拠点を構えている生地卸に、ブランドを付与する。ホームページや名刺にロゴマークをつけたり、合同で展示会を開いたりすることを想定している。

繊維の産地がブランドをつくることは多いが、特定地域の卸によるブランドは珍しい。関西ファッション連合理事の高山茂也氏(北高社長)は記者会見で「先を読んで新しい生地を企画・生産するとともに、すぐに供給できるようにストックしておくことは我々の大きな強み」と語った。

近年はSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、「大量の生地を一括生産するのではなく、必要な量を必要なタイミングで調達したいというアパレルが増えている」(高山氏)。そのため、船場の生地卸が活躍する範囲はこれから一段と広がるとみている。

ブランドの訴求先としては海外に重点を置く。「ニューヨークのように市場は大きいが有力な展示会が少ない地域や、ベトナムのように市場そのものが未成熟で成長余地の大きい地域」(高山氏)が有望で、海外から多くの客が来日する万博の期間中は、近隣で開かれるサテライトイベントとの連携も検討する。

船場は大阪中心部の南北2.1キロメートル、東西1.1キロメートルの地域。豊臣秀吉が全国から商人を集めて城下町を形成したのが最初とされ、江戸時代には上方文化の中心として栄えた。大正時代から昭和初期にかけては糸、生地、縫製品などの卸が立ち並び、日本の繊維産業の発展を支えた。

海外の廉価品に押されて日本の繊維産業は衰退したが、今でも船場には中小の卸が数多く残る。近年、日本の生地は高い品質と独創的なデザインで注目を集めており、海外の高級ブランドによる採用も相次いでいる。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。