東京製鉄は1日、製造時に排出する二酸化炭素(CO2)を従来の4分の1に減らしたグリーン鋼材「ほぼゼロ」の受注を始めたと発表した。電気が化石燃料由来ではないことを示す「非化石証書」を購入し、通常の鋼材価格に1トンあたり6000円を上乗せして7月から発売する。津田聡一朗執行役員は「まだ完全な脱炭素にはできないが現在の最適解だ」と述べた。
第三者機関のソコテック・サーティフィケーション・ジャパン(東京・千代田)がグリーン鋼材の妥当性について確認した。東鉄によると、電炉のCO2排出量は石炭を使って製鉄する高炉の5分の1に抑えられ、1トンあたり0.4トンのCO2を排出していた。新たなグリーン鋼材はさらに0.3トン減らす。
東鉄は「トラッキング付きFIT(固定価格買い取り制度)非化石証書」を購入し、実質的に太陽光などの再生可能エネルギーを使ったとみなすことで電力消費に関連するCO2排出量をゼロにする。製鉄工程の一部でガスなどを使っており、全てのCO2排出量をゼロにはできない。「今後も少しでも減らす努力を進める」(津田氏)
東鉄の鋼材価格は品種によって異なるが1トンあたり十数万円の製品が多い。この価格に非化石証書購入の手数料など6000円を上乗せして販売する。全ての製品で対応が可能だ。
東鉄は鉄スクラップを主原料として電気で鉄鋼を作る電炉製鉄の国内最大手。現在は建材向け鋼材を主力とするものの、より技術力の求められる自動車向け鋼板の製造も目指している。
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