【フランクフルト=林英樹】欧州自動車工業会(ACEA)が18日発表した3月の欧州主要31カ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同月比3%減の138万3000台だった。11%減となった電気自動車(EV)の失速が響き、20カ月ぶりに前年同月を下回った。
2023年末にEV購入補助金が打ち切られ、最大市場のドイツのEV販売は29%減の3万1000台だった。フランスは11%増の3万3000台で、初めてEV販売台数でドイツを上回った。英国は4%増、ベルギーは24%増だったが、31カ国中21カ国でマイナスとなり、全体の販売台数は11%減の19万6000台にとどまった。
EVの補助金廃止・縮小から相対的に価格優位性が高まっているハイブリッド車(HV)は15%増の42万3000台だった。8%減の49万1000台を売り上げたガソリン車に迫っており、今後、販売台数が逆転する可能性がある。プラグインハイブリッド車(PHV)は1%増の9万9000台だった。
メーカー別では独フォルクスワーゲン(VW)が7%減の32万3000台。全体のシェアは前年同月比1ポイント減の23.4%で首位を守った。2位の欧州ステランティスは9%減の22万8000台。シェアは1.1ポイント下落の16.5%だった。
世界的な販売不振に陥る米テスラは欧州市場でも苦戦する。3月の販売台数は35%減の4万台にとどまり、シェアは前年同月の4.3%から2.9%に下落した。ドイツ・ベルリン郊外のギガファクトリーの稼働が落ちていることから販売減が続く可能性がある。
欧州で「ヤリスクロス」などHV販売が好調なトヨタ自動車は11%増の10万2000台、シェアは7.4%で0.9ポイント伸ばした。フランスのルノー(シェアは8.9%)、韓国・現代自動車(8.1%)に次ぐ5位だった。
他の日本勢では日産自動車が19%増の5万1000台、スズキも20%増の2万4000台、ホンダは64%増の1万2000台。一方、マツダは15%減の2万台だった。
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