全長20メートル、高さ5メートルのVRシアターは文化財の新たな鑑賞方法を提示する

TOPPANホールディングス傘下のTOPPANは3日、高精細の仮想現実(VR)映像などを活用してデジタル文化財を鑑賞できるミュージアムを開所した。同社は文化財や美術品などをデジタルアーカイブ化する事業を手掛ける。訪日客の増加などを受け、文化財の電子的な保存・継承を模索する自治体の需要に対応する。

イマーシブ(没入感)型の企画展示スペースでは展示物に関連した映像などを流せる

自社ビルに開所した「デジタル文化財ミュージアム コイシカワクロス」は全長20メートル、高さ5メートルの大型発光ダイオード(LED)カーブビジョンを備える。480枚のLEDパネルを組み合わせ、16K超の高精細なVR映像を映し出すことで、鑑賞者は文化財への没入体験ができる。例えば、非公開の仏像を間近で見られるなど、新体験の提供が可能だ。

壁面と床に映像を投映する約110平方メートルのイマーシブ(没入感)型の企画展示スペースも設置。貴重な文化財を画面上で立体的に回転させて様々な角度から鑑賞ができるディスプレーなども備える。

TOPPANはVR映像の作成や施設の運営などを手掛けており、自動車など企業のショールーム設営も請け負う。訪日客の増加に合わせ「オーバーツーリズム対策として観光客を分散させるための新たな観光スポットをつくる需要も増えている」(TOPPAN文化事業推進本部の中島基道本部長)。

端末を操作することで文化財を回転させ、裏からも鑑賞できる設備

TOPPANは同施設をまずは法人向けに公開する。一般公開は10月5日からで、2024年度に5000人以上の来場を見込む。15件以上のビジネス案件の創出を目指し、同施設による関連売上高で24年度に30億円を目指す。TOPPANの斉藤昌典社長は「文化財の体験価値を高めていきたい」と話した。

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