【フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、ドイツ航空大手ルフトハンザによるイタリア国営航空ITAエアウェイズ(旧アリタリア航空)の買収提案を承認した。長距離路線の独占といった競争環境への阻害懸念から調査していたが、イタリア国内の空港発着枠の一部放棄など、ルフトハンザによる譲歩案の履行を条件に認めた。

ITAは2017年、経営破綻したアリタリアを引き継いで誕生した。新型コロナウイルス禍による旅客減少で経営難に陥り、救済策としてイタリア政府が20年、資本金を拠出し完全国有化した。

ルフトハンザは23年、3億2500万ユーロ(約565億円)でITAの株式41%を取得することで伊政府などと合意した。さらに33年までに2回のITA株の追加取得が認められ、計8億2500万ユーロを投じ完全買収することも可能だ。

欧州委はルフトハンザの買収でイタリアと欧米、日本などを結ぶ長距離路線が寡占状態となり、航空運賃の上昇につながりかねない点に懸念を示し、24年1月から独占禁止法に関して調査していた。

ルフトハンザは譲歩案として、ITAが保有する伊ミラノ空港の発着枠を一部放棄することを提示した。欧州委は同案の履行に加え、競合する他の航空大手がミラノ、ローマ空港と欧米各都市を結ぶ直行便を就航できるよう、ルフトハンザに支援を義務づける措置などを条件に、買収案を認めた。

ITA株41%の取得は24年10〜12月に完了する予定だ。ルフトハンザのカーステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は3日「広範囲の譲歩があったが(今回の買収は)ルフトハンザの国際競争におけるポジション強化につながる」とコメントした。

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