東京商工リサーチは4日、上場企業が2024年1〜6月に募集した早期・希望退職者数が5364人だったと発表した。前年同期に比べ3.6倍に増えた。企業は業績が悪化する前に収益性の低い事業を手放している。募集規模も大きく、構造改革で雇用が流動化している。

24年1〜6月に早期・希望退職を募集した企業数は前年同期比5割増の36社だった。1社あたりの平均募集人数は149人で同2倍超となった。各社の業績をみると、直近決算における最終損益が黒字の企業は58%だった。好業績のうちに大規模な構造改革を進めている。

業種別では電気機器が1800人で全体の3割を占めた。情報・通信業は412人だった。カシオ計算機は25年3月期中にグループ全体で連結従業員数の約5%にあたる500人を削減する。国内約400人が対象になる見通しだ。黒字を確保しながら、経営効率を高める。

2月末にゲーム事業会社を対象に早期退職を募集したソニーグループも6月末、光ディスクなど記録用メディア事業の国内開発・製造子会社で約250人の希望退職を追加で募ることを明らかにした。

これまで日本で早期退職募集が増えたのは、東日本大震災や新型コロナウイルス禍による景気低迷期が多かった。24年はインバウンド(訪日客)需要が好調で国内景気は上向きだが、企業は人員を適正化している。約30年ぶりとなる高い賃上げが実施され、人件費が上がっていることも背景にある。

40代以上の中堅やシニア層を対象とすることが多かったが、年齢制限を設けない募集も増えてきた。24年通年は早期・希望退職募集が1万人を超える可能性がある。

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