ボーイングの小型機「737MAX」は2回の事故で350人近くの乗客が死亡した=ロイター

【シリコンバレー=清水孝輔】航空機大手の米ボーイングが2018〜19年の2回の墜落事故を巡り、詐欺罪を認めることで米司法省と合意したことが7日わかった。複数の欧米メディアが報じた。司法省が訴追の方針を固めたことを受け、同社は罪を認めて罰金を支払うか裁判で無罪を訴えるかの判断を迫られていた。

ボーイングが米航空当局を欺いて安全に関する証明を得たことなどが詐欺罪にあたると判断された。罰金は合計4億8720万ドル(約780億円)。同社は21年の司法省との合意で罰金の半分に相当する金額を支払っており、新たな負担は2億4360万ドルになる見通しだ。

ロイター通信によると、ボーイングは今回の合意を受けて安全対策やコンプライアンスの向上に今後3年間で4億5500万ドル以上を投資する。司法省から任命を受けた第三者の機関が同社を監視し、年次報告書を公表するという。

同社は米国防総省に多くの装備品やメンテナンスなどのサービスを提供している。有罪を認めることで、連邦政府との取引が難しくなる可能性もある。

ボーイングの小型機「737MAX」は機体制御システムに問題があり、18〜19年に2回の墜落事故を起こした。事故では350人近くが死亡した。

司法省はボーイングが安全情報を隠蔽したなどとして訴追を検討したが、21年には再発防止策を導入することなどを条件に起訴を見送ることで合意した。司法省はボーイングが合意内容を履行していないと判断し、再び捜査していた。

ボーイングをめぐっては24年1月にも、アラスカ航空が運航する機体が飛行中に穴が開く事故が発生した。この事故でボーイングの安全対策に対する不信感が再び高まっている。

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