海運事業の一部を大手に売却し、投資を効率化する

ENEOSホールディングス(HD)は8日、液化石油ガス(LPG)運搬船などの海運事業を日本郵船に売却すると発表した。売却の完了時期は2025年4月で、金額は非開示。船舶の二酸化炭素(CO2)排出規制への対応や運航効率化への投資を単独で続けるのが難しいと判断した。

ENEOSHD傘下で海運を担うENEOSオーシャン(横浜市)の事業のうち、中東から日本に原油を運ぶ原油タンカー以外を売却する。ENEOSの製油所などでつくったLPGや石油製品の海上輸送が対象となる。

これらの事業をENEOSオーシャンが新たに設立する完全子会社に承継したうえで、その会社の株式の80%を日本郵船に売却する。

ENEOSオーシャンの24年3月期の連結売上高は約760億円、営業利益は約80億円だった。このうち、売却の対象となる事業が占める規模は明らかにしていない。新会社は日本郵船の傘下で脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応を急ぐ。

日本郵船はLNG(液化天然ガス)船と並んでLPG船も注力領域に掲げている。LPG船は発電などの用途で需要が高まると期待されるアンモニア輸送船とも輸送管理などの面で親和性が高い。ENEOSHDからの事業取得により、将来のアンモニア輸送を強化する布石にもする。

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