7月10日は「納豆(7・10)の日」。スーパーなどでは低価格で並び、「物価の優等生」とされるが、その安さゆえに業界が苦しんでいる。

 手軽さに健康志向も重なって、納豆の売り上げは伸びている。全国納豆協同組合連合会(納豆連)によると、2023年の年間生産量は約37万4千トン。前年比で約12%も増えた。

安売り常態化「健全ではない」

 ただ、生産現場の実情は厳しい。輸入大豆の価格が高騰しているうえに、容器代や燃料費なども上がり、歴史的な円安も重なった。

 原材料価格が上がり、23年春には各社が一斉に値上げに踏み切った。だが店頭価格は徐々に下落し、20年から24年の上昇率は6.8%にとどまる。

 「安く売ることが常態化し、健全ではない」。昨年11月、農林水産省の会議で、川口納豆(宮城県)の門傳(もんでん)英慈代表は訴えた。

消費者は価格重視

 納豆が値上げしにくい一因には消費者の意識もある。

 納豆連の23年の調査(複数回答)では、消費者が重視するのは、価格が62.4%で最も多い。小粒やひき割りなど納豆の種類(40.8%)、日付の新しさ(37.5%)と続く。03年以降、「価格」は常にトップだ。(上地一姫)

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