日本船舶輸出組合(東京・港)が10日発表した6月の輸出船契約実績(受注量)は、前年同月比74.3%増の215万総トンだった。前年同月を上回るのは5カ月連続となった。船舶のサイバーセキュリティーに関する国際的な規則の適用が7月から始まることをうけ、対応に伴うコスト増分の見通しがつきにくく、6月に駆け込みの受注が相次いだとみられる。
受注隻数は54隻だった。内訳は鉄鉱石や穀物などを運ぶばら積み船が48隻で、セメント運搬船の受注もあった。タンカーは5隻、貨物船は1隻だった。
受注増の背景には、7月以降の新造船契約から適用が始まる新規則の影響がある。船舶のデジタル化が進むなか、国際船級協会連合(IACS)は22年、船舶のサイバーセキュリティーに関する統一規格を発行した。サイバー攻撃による問題の発生や影響を低減する機能「サイバーレジリエンス」について最低限の要件を求めている。船舶が対象となる「UR E26」とシステムや機器が対象となる「UR E27」がある。
船舶が2つの規則を満たすには追加コストが生じる可能性が高い。業界関係者によると「どれくらいの費用負担になるか分からず、6月中に契約を急ぐ動きがあったのではないか」という。
造船各社の6月末の手持ち工事量(受注残)は約3025万総トンだった。およそ3.4年分に相当する高い水準だった。
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