アルケゴス創業者のビル・ホワン被告(9日、ニューヨーク)=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁の陪審は10日、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント創業者のビル・ホワン被告に対し、取引先金融機関への詐欺など10の起訴容疑で有罪評決を下した。アルケゴスの高リスク運用の失敗はクレディ・スイス・グループが事実上破綻する一因となった。

米メディアが一斉に報じた。アルケゴスは元ヘッジファンド運用者であるホワン被告の個人資産管理会社。デリバティブ(金融派生商品)や投資銀行からの融資を活用して持ち高を増やし、高い投資収益を追求する戦略をとっていた。

複数の投資銀行と取引するなかで被告はアルケゴスが負っていた取引リスクの全体像について虚偽の説明をするのを共謀し、不正に持ち高を膨らませたと認定された。アルケゴスの運用資産は最大360億ドル(約5兆8000億円)となったが、2021年3月に運用に行き詰まった。

クレディ・スイスや米モルガン・スタンレー、野村ホールディングスなどアルケゴスの取引相手だった金融機関が被った損失は計100億ドルにのぼる。経営体力への打撃がたたり、クレディ・スイスは23年3月に経営危機に陥り、UBSに救済合併された。

ホワン被告への量刑は10月28日に言い渡される予定だ。報道によると罪状の最高刑は禁錮20年だが、軽減される可能性が高いという。

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