大阪府泉大津市の南出賢一市長㊧と北海道旭川市の今津寛介市長は有機米の産地と消費地で連携して農家を支援する(11日、大阪府和泉市で)

大阪府泉大津市と北海道旭川市は11日、共同で「オーガニックビレッジ宣言」を出し、農薬を使わない有機米の生産から消費まで一貫した連携に踏み出した。泉大津市の南出賢一市長は「健康にいい有機米を購入することで農産地を支えたい」と語り、旭川市の今津寛介市長は「有機米栽培に関わる農家の励みになる」と歓迎した。

農林水産省が提唱するオーガニックビレッジは、地域ぐるみで有機農業に取り組む産地を指す。消費地と生産地が共同で取り組むのは全国で初めて。泉大津市は旭川市から2023年産20トン、24年産30トンの有機米を玄米で購入する。旭川市はコメ農家に有機米栽培への取り組みを支援することで作付面積を増やし、年間約100トンの生産量を28年には150トンにまで増やしたい考えだ。

泉大津市は市民の健康増進と食糧確保の観点から農産地との連携を広げている。24年度は旭川市のほか長野県南箕輪村、高知県香南市、熊本県人吉市など合わせて9自治体と連携協定を結び、年間約130トンの有機米や低農薬米などを調達する。各地のJAから直接、購入するため、農家の収入増が見込めるという。

有機米は農薬を使わないため、生産農家の負担は大きいとされる。あさひかわ農業協同組合の古沢祥弘組合長は「安定供給先があることは有機米を手掛ける農家にとって大変心強い」としたうえで、「農家の生産意欲が高まり担い手不足解消につながれば」と語る。

泉大津市では各地から購入したコメは東洋ライス(和歌山市)に委託し栄養価の高い精米に加工したうえで、学校給食や妊婦に精米を提供する「マタニティ応援プロジェクト」に充てる。南出市長は「消費地である都市部が生産地である農山村を支える構図ができなければ、日本の農業は持続できない」と語り、今後も農産地との連携を強化する考えを示した。

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