さくらインターネットのデータセンター(大阪市)

経済産業省は19日、国内の人工知能(AI)向けスーパーコンピューターの整備を支援すると発表した。KDDIやGMOインターネットグループなど5社が対象で、最大725億円を補助する。経済安全保障の観点から重要な国産のAI開発を促す。

KDDIとGMOインターネットには事業総額の3分の1にあたる最大102億円、19億円を補助する。中堅・新興企業のさくらインターネット、RUTILEA(ルティリア、京都市)、ハイレゾ(東京・新宿)には必要経費の半額を補助する。それぞれ最大501億円、25億円、77億円とした。

各社は米エヌビディアの画像処理半導体「H100」などを調達し、スパコンを整備する。クラウドサービスを通じて、AIの開発者が遠隔から利用できるようにする。経産省は補助の条件として各社にクラウドを最低でも3年間、相場より安い価格で提供するよう求めた。スタートアップなどが利用しやすい環境を整える。

AIや生成AIの開発には高性能なコンピューターが欠かせない。国内の計算基盤は乏しく、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などに頼らざるを得ない状況だ。経産省は2023年にもソフトバンクのスパコン整備に53億円を補助しており、対応を急ぐ。

経産省は今後、スパコン事業者とAI開発者をつなぐ検討会を始める。夏をめどに課題や要望を取りまとめ、AI開発向けに使いやすいクラウドの整備につなげる。

斎藤健経産相は同日の閣議後の記者会見で「経済安全保障や産業競争力強化の観点から、生成AI開発向けの計算資源の整備が重要だ」と話した。

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