預金金利の引き上げで利ざやが縮小(写真はニューヨークの店舗)=ロイター

【ニューヨーク=秋田咲】米銀大手ウェルズ・ファーゴが12日発表した2024年4〜6月期決算は純利益が前年同期比1%減の49億ドル(約7700億円)だった。預金金利の上昇に伴い、利ざやの縮小が続いた。

貸し出しなどから得る利息収入と、預金者に払う利息の差「純金利収入」は119億ドルと9%減だった。MMF(マネー・マーケット・ファンド)など利回り商品との競争から預金金利は前年同期より0.71%上昇した。利ざやは前年同期より0.34ポイント縮小して2.75%となり、23年1〜3月期をピークとして5四半期連続で縮小した。

貸倒引当金などの与信費用は12億ドルと前年同期比3割近く減少した。ただ融資先の債務不履行などにより回収不能となった不良債権償却額は前年同期比7割増の13億ドルへ急増した。

チャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)は決算説明会で不良債権償却額の増加はオフィス融資の焦げ付きが主因と説明し「多くの大都市圏でオフィス賃貸需要が低迷しているため、物件評価額の低下などオフィス不動産市場の状況悪化が継続している」と指摘した。

一方、好調な市場環境や企業の資金調達ニーズを背景にトレーディング事業や投資銀行事業は好調で、非金利収入は前年同期比19%増の87億ドルだった。

1株利益は1.33ドルと米ファクトセット集計の市場予想1.29ドルを上回った。ただ、純金利収入が市場予想を下回ったことが嫌気され、12日の株式市場でウェルズ・ファーゴ株は一時前日比8%安となった。

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