シャープの沖津社長は「構造改革は2024年度にやりきる」と話した(16日、堺市)

シャープの沖津雅浩社長兼最高経営責任者(CEO)は16日、テレビ向けの液晶パネルを生産する堺工場(堺市)が「(8月の)お盆過ぎに完全停止する」との見通しを示した。従来は9月までに停止するとしていた。公表した計画を早めに実行に移し、「2025年度から(白物家電を中心とする)ブランド事業に投資する」環境を整えるとした。

沖津氏は6月27日の社長就任後、初めて報道陣の取材に応じ、堺工場を停止するまでの道筋を明らかにした。7月20日以降に生産設備に投入するガラスなどの部材が、約1カ月後に液晶パネルとして完成する工程が最後の生産になるという。

シャープは堺工場の土地や建屋をAI(人工知能)データセンターに転換する。データセンターの建設に向け、ソフトバンクやKDDIと協業する方針を公表しているが、16日は協業の枠組みに関する質問には答えなかった。

別途、27年度までにブランド事業の営業利益率を7%に引き上げる計画も示した。23年度は5%弱だった。高付加価値の新製品を増やしたり、これまで液晶パネル事業に投じていた資金を新たなM&A(合併・買収)に振り向けたりすることで「ブランド事業を収益の中心に据え、経営を正しいサイクルに戻す」(沖津氏)。

親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の劉揚偉・董事長がシャープの会長に就いたことに対しては「役割の分担が明確になった。シャープの監督とサポートは鴻海、既存のブランド事業についてはシャープが担っていく」と説明した。

鴻海が強みを持つAI分野や、鴻海が足元で注力する電気自動車(EV)分野で連携を深め「27年ごろに売り上げの立つビジネスに育てる」目標も示した。

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