日本公認会計士協会は16日、2024年3月期に会計不正を公表した企業が前の期比9社増の45社だったと発表した。公表企業は3年連続で増え、過去最多だった20年3月期(47社)に迫った。架空仕入れや在庫の過大計上などの増加が目立った。

財務諸表の利用者をだまそうと意図的に虚偽記載する「粉飾決算」と、会社のお金などを着服したり私的に使ったりする「資産の流用」を会計不正の2類型と定義して集計した。影響金額が大きくなりやすい粉飾決算が件数ベースで8割を占めた。

粉飾決算の種類別では「架空仕入・原価操作」が18件と前の期の11件から増えた。「在庫の過大計上」は8件(前の期は4件)だった。

20年3月期から24年3月期の5年間の会計不正が発覚した経路別に集計すると「当局調査」が42件と最も多かった。23年3月期までの5年間では2位だった。新型コロナウイルス禍が一服し、国税庁の税務調査が増えたことが一因とみられる。

市場別では東証プライム企業が20社(前の期は11社)と増加した。スタンダード企業は15社(同17社)、グロース企業は7社(同7社)だった。

建設技術研究所では業務委託先への不適切な発注が発覚した。アルデプロは循環取引などの不適切な会計処理が発覚し24年4月に上場廃止になった。

金融庁は23年4月に「内部統制報告制度(J-SOX)」を改訂し、24年4月以降に始まる事業年度から適用が始まった。内部統制の評価範囲を適切に見直すことなどを企業に促す。

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