日清食品HDは女性向け「完全メシ」として冷凍おにぎりを18日に発売する(17日、東京都新宿区)

日清食品ホールディングス(HD)は17日、効率的な栄養摂取が可能とうたう「完全メシ」で女性向け商品を発売すると発表した。冷凍おにぎりを18日から販売する。カロリーを抑え、ダイエット中の人にも売り込む。2025年度に完全メシで100億円の売上高を目指す。主導するのは創業家の3代目だ。

日清食品HDは「ほぐし鮭と大葉」や「ツナマヨ味五目ごはん」など6種類のおにぎりを発売する。28〜42歳の女性を主なターゲットとした。出産や子育てなどで忙しく手軽な食事を求める人や、体の変化を感じて内側から整える必要性を感じる人が多いと判断した。

日清食品グループのオンラインストアなどで販売し、4袋(1袋3個)で2680円(送料別)。手軽で腹持ちも良いおにぎりを採用した。「ほぐし鮭と大葉」のおにぎりで摂取できるエネルギーは196キロカロリーと、一般的なおにぎりより抑えた。

商品企画を担当した佐藤真有美部長は「(オンライン販売で冷凍の)『完全メシデリ』は男性の購入者が多い」と話す。「健康系の食品は女性の支持が高まっている。女性にこそヒットすると思い、女性向けの商品を考えた」

効率的な栄養摂取をうたう「完全栄養食」市場では女性向け商品が増えている。ポーラ・オルビスHD子会社で化粧品を手がけるオルビス(東京・品川)は5月、市場で初めてとみられるおにぎりを主に女性向けとして発売した。味の素も1月に女性向け完全栄養食としてチーズ味などスープパスタ2種類を発売した。

日清食品HDは22年に完全メシを発売し、カップメシやスムージーなど多くの商品で市場をけん引する。25年度には市場売価で100億円ブランドを目指しており、23年度は50億円だった。

日清食品HD創業者の安藤百福氏が開発し、1971年に発売したカップヌードルは世界100カ国に広がった。百福氏の息子で、現日清食品HD社長の安藤宏基氏は「カップヌードルをぶっつぶせ」と宣言し、カップ麺「日清のどん兵衛きつね」やカップ焼きそば「日清焼そばU.F.O.」などのヒット商品を世に送り出した。

安藤宏基社長の長男で15年から事業会社の日清食品社長を務める安藤徳隆氏が率いているのが完全メシだ。徳隆氏は「Beyond Instant Foods(インスタント食品を超える)」を掲げる。大和証券の守田誠シニアアナリストは「完全メシなどを第2のカップヌードルにするには最低でも売上高500億円ほどの規模が必要」と指摘する。

だが、「完全メシはまだ消費者の行動様式に定着していない」(守田氏)との指摘は多い。今後も事業をやり続け、カップヌードルに匹敵する商品に育てることができるのか。3代目の真価が問われる。

(行方友芽)

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