鈴鹿8時間耐久ロードレースで、カワサキモータースが水素バイクを公開走行した(20日、三重県鈴鹿市)

川崎重工業傘下で二輪車事業を手がけるカワサキモータースは20日、三重県鈴鹿市で水素を燃料に使うバイクの走行を初公開した。水素は内燃機関車の技術を応用できるなど、移動手段の脱炭素を担う次の一手として期待される。同社は2030年代前半の実用を目指しており、公開走行を通して取り組みの認知度を高める。

三重県鈴鹿市で開催中の「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」でサーキットを一周した。量産メーカーによる水素バイクの公開走行は世界で初めて。大型二輪「Ninja(ニンジャ)H2SX」をベースに、水素燃料のタンクなどを取り付けた車両を用いた。エンジンの音や振動はガソリン車に近い様子だった。

水素燃料は電動バイクと異なり、内燃機関車の骨格を大きく変える必要がない。コストを抑えられるほか、長年培ってきた信頼の高い技術や部品を応用できる。一方で燃焼速度が速くて不安定なほか、水素ステーションなどインフラ整備に巨額な費用が必要となる。

23年5月にはホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、カワサキの国内二輪車4社が「水素小型モビリティ・エンジン研究組合」を設立した。業界全体で水素燃料を用いた小型モビリティの実現を急ぐ。川崎重工業の松田義基執行役員は「エンジンによる鼓動感や加速感を大事にして、一人一人が知らないうちにカーボンニュートラルに貢献する世界を実現したい」と話す。

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