北九州市が進めるオフィスビル建設促進策「コクラ・クロサキリビテーション」の第1号適用物件「BIZIA KOKURA(ビジア小倉)」が23日に完成した。IT企業を中心にした入居率は現状で6割にとどまるが、今秋には85%を見込むという。小倉都心部でさらなるオフィスビルの開発を促せるかどうか、試金石となりそうだ。

小倉都心部に完成した「ビジア小倉」(23日)

ビジア小倉はJR小倉駅から徒歩7分の立地にある。13階建てで、延べ床面積は9857平方メートル。人材サービスのワールドホールディングス(HD)傘下で不動産開発を手掛けるミクニ(北九州市)が60億円を投じて建設した。日本IBMなどの入居が決まっている。オフィス賃料は3.3平方メートルあたり2万円とみられる。

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23日の竣工式後に記者会見したワールドHDの伊井田栄吉会長兼社長は「北九州の良さは(都心にある)勝山公園の自然環境だ。IT環境が整ったこのビルを都市型のワーケーション拠点として人材を集めるきっかけにしたい」と話した。今後は同ビルに起業支援などの機能も強化する考えを示した。

ビジア小倉の近くにある旦過市場(たんがいちば)には北九州市立大学が2027年に新学部「情報イノベーション学部(仮称)」を開設する。武内和久市長は「小倉は長い間、オフィスビルの更新が停滞していた。新学部とのコラボも含めて、このビルから街が動いていくことを願っている」と語った。

北九州市は21年にJR小倉駅と黒崎駅の半径1キロメートルを対象にコクラ・クロサキリビテーションを始めた。オフィスビル建設に最大10億円を補助し、解体・建設期間中にかかる固定資産税の半額を実質免除する。24年3月には福岡市の「天神ビッグバン」に倣って幹線道路沿いの指定容積率を従来の600%から800%に緩和した。

「ビジア小倉」の竣工式で記者会見を開いた武内和久・北九州市長㊧ら(23日、北九州市)

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