サンケン電気は24日、米国の連結子会社で半導体を手掛けるアレグロ・マイクロシステムズを一部売却すると発表した。保有する51%のうち、約20%を売却する。23日終値ベースで約10億7200万ドル(約1700億円)に相当する。アレグロは持ち分法適用会社になる。売却で得られる資金は株主還元や負債の削減などに充てる。
売却価格は25日に決まる。売却による特別利益を精査するため、2025年3月期の連結業績予想を取り下げた。「新たな予想値については算出後に速やかに公表する」としている。
アレグロは20年に米ナスダックで上場し、時価総額はサンケンの約4倍となっている。子会社のアレグロと時価総額が逆転していることから「サンケンの価値が割安に放置されている」との指摘もある。
同社の株主にはアクティビスト(物言う株主)がおり、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが筆頭株主となっている。エフィッシモが24日に関東財務局に提出した変更報告書によると、サンケン株の保有比率を21.22%から22.08%に引き上げた。過去には株主が経営改革を促すこともあった。
サンケンは家電や車載モーターの駆動装置、電源回路などに使われるパワー半導体を主力とする。1月の能登半島地震で工場が被災し、24年3月期に81億円の連結最終赤字を計上した。アレグロ株の売却理由として株主還元のほか、27年度を最終年度とした中期経営計画を実行するための資金の獲得、財務体質の改善を目的とした有利子負債の削減を挙げている。
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