キヤノンは24年12月期の売上高が07年12月期以来、17年ぶりに過去最高を更新する

キヤノンは25日、2024年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比27%増の3350億円になりそうだと発表した。従来予想(15%増の3050億円)から300億円上方修正する。利益額は17年ぶりの高水準になる。印刷関連やカメラの伸びや、為替の円安が寄与する。

事前の市場予想の平均値(QUICKコンセンサス、12社)の2990億円を、新しい業績見通しは約360億円上回る。年間配当は前期比10円増の150円とする従来計画を据え置いた。

売上高は10%増の4兆6000億円と、従来計画から2500億円上振れする。07年12月期以来17年ぶりに過去最高を更新し、実現すれば25年12月期を最終年度とする中期経営計画で目標としていた「4兆5000億円以上」を1年前倒しで達成する。

事業別では稼ぎ頭でオフィス向け事務機などの「プリンティング」事業が10%増の2兆5702億円と、1764億円上方修正した。販売したカラー複合機から得るサービス関連の収入や、子会社のキヤノンマーケティングジャパンが手がける企業向けIT(情報技術)支援が堅調に推移する。

デジタルカメラなどの「イメージング」事業も13%増の9739億円と739億円引き上げた。デジカメは23年末の商戦で苦戦したが、24年1〜3月期の出荷調整で市場の在庫が減ったことで販売が復調する。下期に投入するプロ向けなどの新製品も貢献を期待する。

営業利益は24%増の4650億円と300億円上方修正した。通期の為替レートは1ドル=153円87銭、1ユーロ=164円99銭と、前回見通しの1ドル=141円87銭、1ユーロ=156円35銭からそれぞれ円安方向に修正した。為替が前回の予想に比べて658億円の上振れ要因となり、経費の増加を吸収する。

同日のオンライン決算会見で田中稔三最高財務責任者(CFO)は為替について「25日に1ドル=152円台を付けたが、貿易収支の赤字や日銀による連続の利上げが日本経済の状況から考えて難しいことなどを考慮すると、年内に円安の是正は起こらないと見ている」と話した。

同日発表した24年1〜6月期の連結決算は、売上高が前年同期比8%増の2兆1563億円、純利益が23%増の1498億円だった。半導体露光装置などの「インダストリアル」事業は19%の増収と好調だった。電気自動車(EV)などで使われるパワー半導体や半導体製造の後工程向けの需要が好調だった。

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