▼自動車の供給網 中国は2001年の世界貿易機関(WTO)加盟を一つの契機に外資の参入を緩和した。それに伴って、ホンダやトヨタ自動車などの日本車メーカーが相次ぎ進出した。自動車は産業の裾野が広く、部品メーカーや材料メーカーも中国に拠点を設けた。日本自動車部品工業会によると会員企業の現地法人数は642社に上る。
足元では中国事業の撤退や縮小が相次いでいる。日本製鉄は鉄鋼世界最大手、中国宝武鋼鉄集団傘下企業との合弁事業からの撤退を決めた。フジクラは自動車用ワイヤハーネス(組み電線)製造拠点を23年に閉鎖した。ブリヂストンは中国でのトラック・バス用タイヤの生産販売から撤退を決めた。
部品・材料メーカーが中国事業を撤退・縮小する背景には、日本車メーカーの販売低迷がある。電気自動車(EV)を安価に販売する中国の新興メーカーが相次ぎ誕生し、足元で中国勢の市場シェアは60%を超えた。ガソリン車が主力の日本車は苦戦が続く。武蔵精密工業のように、中国メーカーへの部品供給を増やして生き残りを図る日系サプライヤーも現れている。
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