公立学校教員の人材確保に向けた給与増や働き方改革を議論してきた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会が5月に出した審議まとめについて、文科省は26日、パブリックコメントが約1万8千件集まったことを明らかにした。

 審議まとめは、公立校教員に時間外勤務手当(残業代)を支給しない代わりに、一律に上乗せ支給している「教職調整額」を、現在の「基本給の4%」から「10%以上」に増額することなどが柱。定年によるベテランの大量退職に伴い大量採用されている若手教員のサポート体制の充実や、教員の平均残業時間を将来的に月20時間程度にする目標も盛り込んでいる。

 パブコメは6月14日~28日の2週間で行われ、計1万8354件集まった。この1年に文科省が行い、電子政府の総合窓口に掲載しているパブコメで、最も多かった意見数は3575件。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の財産流出を抑止するために制定された特例法の運用基準案に対するものだった。今回の意見数はそれを大きく上回った。

 集まった意見の中には、審議まとめの内容を評価する意見もあった一方で、さらなる国の教育投資や、残業代支給が必要だとして、内容を再検討するよう求める意見もあった。

 今後、パブコメを参考に最終的な答申案をまとめる。

パブコメに集まった意見(抜粋)

・現場のアイデアや工夫に頼るのではなく、教育予算を拡充するべきである。

・中教審としての強い思いを含んだメッセージと捉え、大きく評価している。絶対に「絵に描いた餅」で終わることがあってはならない。

・一定の評価はできるものの、インパクトの不足感は否めない。残業代支給が難しいのは理解できるが、であればそれに見合う思い切った教職調整額が必要である。

・勇気をもって業務を削減する必要があるが、学校現場に任せるのではなく、国が全国一律に強く指示を出して進めるべきである。

・公教育の重要性を考えると、学校の役割や機能をただ縮小するだけではなく、役割を果たせるように、人員と予算をつけてほしい。

・処遇改善も重要であるが、それ以上に教職員定数の改善が、教師の安定的確保と働き方改革の実現につながるのではないか。

・地方公共団体によっては、教員業務支援員を配置するための予算が措置されていないところが多いため、国で配置状況を把握し、適切な指導助言を行うよう要望する。

・給特法を廃止し、時間外勤務に対する対価が支払われる仕組みにしてほしい。

・行った施策については、その効果がどうだったのか、中央教育審議会でもフォローアップが必要である。

・環境整備や在校時間の改善が見られない場合の具体的な取り組みや責任についても明確にすべきである。

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