エネチェンジは会計処理問題で一時債務超過に陥り、再発防止策が注目されていた

電気自動車(EV)の充電事業などを手掛けるENECHANGE(エネチェンジ)は29日、3月に発覚した会計処理問題に対する再発防止策を発表した。城口洋平最高経営責任者(CEO、36)が責任を取って30日付で辞任する。経営トップの権限分散や専任の内部監査室長の配置なども実施し、ガバナンス(企業統治)の向上や信頼回復を急ぐ。

29日に開いた取締役会で、城口CEOが辞任を申し出て受理された。30日開催予定の株主総会の「継続会」の終了をもって退任となる。同社は辞任を受理した理由について、6月の外部調査委員会の報告書で内部統制に問題があったと指摘されたことに加え、会計監査人のあずさ監査法人が城口CEOの不正を認定したことなどを挙げた。

後任には丸岡智也最高財務責任者(CFO、36)が9月3日の臨時株主総会後の取締役会でCEOに昇格する予定だ。

このほか、東芝の元CFOの平田政善氏(65)を7月30日付で代表取締役会長に迎える人事も発表した。平田氏は15年の東芝の不正会計の発覚後、同社の経営立て直しを担った。9月3日以降は取締役会長となる。

城口CEOはあずさから、EV充電設備の特別目的会社(SPC)への不透明な間接出資などを指摘されていた。エネチェンジはSPCを連結範囲に含めたことで2023年12月末時点で一時的に債務超過に陥った。

権限分散に向けては、これまでCEOのみだった代表取締役を最高執行責任者(COO)との2人体制にしてけん制機能を持たせる。新たに内部監査室長を配置し、不正の兆候などを見かけた場合は監査役会への報告を義務化する。会計監査人などとのミーティングも少なくとも四半期ごとに開催して情報共有に努める。決算期も従来の12月期から3月期に変更する。

エネチェンジの会計処理問題は、不正を疑ったあずさの指摘で発覚した。外部調査委は報告書で不正はなかったと結論づけたものの、城口CEOや前CFOら経営幹部のコンプライアンス(法令順守)の軽視など内部統制の問題を指摘していた。一方、あずさは不正があったと主張し、会計監査人を辞任した。

丸岡 智也氏(まるおか・ともや)11年(平23年)早大政経卒、日本政策投資銀行入行。14年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。22年ウォルト・ディズニー・ジャパン入社。24年2月エネチェンジ執行役員。埼玉県出身

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